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 「パーマかけてきたんだけど、何か違う……」「テストができなかった」「やる気のスイッチを見失いました」──。ぽこぽこと小気味よい音とともに、雲のような形をしたコメントが浮かび上がる。そのコメントは深刻度の差こそあれ、どれも一様に後悔やがっかりしたことばかり。いわゆる“ヘコんで”いる状態だ。それに対し、どこの誰だか分からない人が「頑張れ!」「その気持ち分かる!」と“無責任”に励ます。「あえて言うなら、怖くない2ちゃんねる、でしょうか」。そう話すのは「リグレト」を手がけるディヴィデュアルの遠藤拓己代表取締役。現在、「ヘコみ」投稿数は25万件、励ましの数は110万件に上る。

 音大出身という経歴を持つ遠藤氏。リグレトの着想を得た際、その根底には「便利なだけではない、人間の行動や感情に近いWebサービスを作りたい」という考えがあった。それは、心が動くことのそばにいたいという、芸術を志した遠藤氏の考えを新しい形で具現化する試みでもあった。リグレトでは、人間の記憶と同じように、ヘコんだことや慰めのコメントは時間がたつと消えていく。検索もできない。「ヘコんだり、慰めたりという、生きていく中で皆が普通にやることを再現したかった。それを、Webの長所を生かして、自分の立場を表明せずに、気楽に空気を“読まず”にできるようにしました」。フォントやデザイン、キャラクターの巧みな演出によって「荒れたことはほぼ皆無」。利用者の6割強が女性だ。

 遠藤氏はサービスを考えるに当たり、人間が退化することを前提としたテクノロジーではなく、進化のきっかけになるかどうかを一番に考える。「人間という根源的な部分はいつまでも変わらない。だからこそ、その人間の次のステップになるようなテクノロジーを生みだしたい。人間が生きるためのメディアを作りたいのです」。