PR

 コンピューター業界で活躍した純浦氏が、体調を崩したことをきっかけに興したのが、農作物の栽培技術を開発する「アニス」。同社の技術の特徴は、農薬を使わず、手間をかけず、その結果の作物がおいしいこと。農業のIT化=省力化と思いがちだが、農薬不使用の点でも、前職の経験が生きている。

 体内の環境が整ったから体調が戻ったという純浦氏は、栽培でも土壌の整備が重要と考えた。良い土には、良い微生物が必要。微生物学の勉強を重ねた。そして良い微生物が「運よく見つかっちゃった。探し当てるのは、本当は大変な作業なんです。ラッキーでした」。農薬代わりに散布する液体にも、大学からラインセンスを受けた微生物を入れている。ただ目的別に微生物を組み合わせるだけでは、その働きを相殺してしまうこともある。ベストな相性の見つけ方に、ソフトを開発していた前職の経験が生きたという。「かな漢字変換の考え方と同じです。議論の後にほかの候補を排除し、一番良い1つに集約する。農業でも同じです」。

 温室の環境管理も、もちろんITの仕事。試験棟では、温度や湿度、二酸化炭素排出量などを感知し、自動で窓が開閉する。

 現在は、トマトの通信販売で知られる窪畑ファームなどにトマトやショウガの栽培技術をライセンスしている。野菜の種類は増やしていく。「水が必要な植物の栽培には、うちの技術が使えますから。ダメなのはサボテンくらいです」。委託栽培したものを買い取って、流通させてもいる。農薬を使わないから安心。健康な土で育つ野菜は味が良い。だから、多少高価でも顧客は口コミで増えている。課題はブランド戦略だという。「ライセンス先の名前を前面に出すのがいいのか、ソフトウエアのように『Powered by アニス』と打ち出すのがいいのか」。これもIT業界との共通点だ。