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 グローバル経済が依然停滞するなか、PCの出荷台数も世界的に減速傾向にあるが、そんな中、エイサーの躍進ぶりが突出している。米国の調査会社IDCやガートナーの発表によると、2009年第2四半期における同社の出荷台数シェアは全世界で第3位。1位のヒューレット・パッカード(HP)が前年同期比でほぼ横ばい、デルに至ってはマイナス成長と急ブレーキがかかる中、エイサーは30%台半ばの高成長を記録。EMEA(欧州、中東、アフリカ)市場に関して言えば2位ながら、トップのHPにシェアでわずか0.4ポイント差と肉薄している。

 躍進の原動力となっているのが、自前の「acer」ブランドに加え、ここ2年ばかりの間に買収した「Gateway」や「eMachines」、「Packard Bell」と言った有力ブランドを、国や地域によって最適な形に組み合わせて展開するマルチブランド戦略だ。急成長の秘密を、マーケティング&ブランディングを担当する本社副社長のジャンピエロ・モルベーロ氏に聞いた。

■PC市場に停滞感が漂う中、エイサーの元気の良さが目立ちます。有力ブランド買収の成果が出てきたようですが、改めて戦略の狙いを聞かせてください。

 エイサーは2007年10月に米ゲートウェイを買収し、Gatewayブランドと、Gatewayが保有していたeMachinesブランドを獲得しました。その後、2008年1月にはフランスのパッカード・ベルを統合しました。そこから、独自ブランドであるacerに加え、Gateway、eMachines、Packard Bellの4つのブランドから成るマルチブランド戦略を打ち出しました。

 それまでエイサー単体でも、世界各地である程度のシェアを得るに至っていました。それをさらに高めていくために他企業の買収に踏み切ったわけです。PCは今や、携帯電話と同様に各家庭に普及しました。それこそ、スイッチをひねると電気が点くように、ごく当たり前の存在となったのです。PC自体がそうしたフェーズに入ってきた結果、ユーザーのニーズも以前とは変わってきました。これまでのように技術を追求していくことも、もちろん大事ですが、PCが汎用品となった結果、テクノロジーの高性能に惹かれて選ぶ人と、ブランド自体の信頼性を重視する人に分かれてきたのです。そこで、我々は、ユーザーをいくつかのカテゴリーに分けることにしました。

 ここに、横軸をテクノロジー、縦軸をブランド価値としたチャートがあるとしましょう。右上のエリアには、テクノロジーとブランド価値の両方を重視する層がいる一方で、最新のテクノロジーにはこだわるが、ブランドにはこだわらない層もいます。実用性を重視し、とにかく安いモノを買いたいという層もいます。かと言えば、技術よりも流行を重視するグループがいます。そして、パソコンを使うことに抵抗があるが、使わないと生活が難しい。だから買う、という、PCに単純さや簡単さを求める層もいます。最後に、これらのどれにも当てはまらない一般的なユーザーがいます。

 これだけ多岐にわたる属性に散らばった6つのユーザーを、1つのブランドでカバーするのは難しい。そこで、ハイエンドのテクノロジーを必要とする層である1番目と2番目、それと一般的なユーザーである6番目のグループに向けてはacer、流行に敏感な3番目や4番目のユーザーはGatewayがカバーします。安ければいいという実用性を追求する5番目向けのブランドが、eMachinesです。Packard bellもGatewayと同じ4番目と5番目に属しますが、米国でGatewayがカバーするところを、欧州ではPackard Bellが担当します。