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 Office 2007が発売されたのは2007年1月30日。3年の年月を経て、来年前半にOffice 2010がリリースされる。Office 2010は、製品構成がこれまでのOfficeとは大きく異なる。従来と同じ「リッチクライアント版」に加え、「Webアプリケーション版」「モバイル版」の3種類が同時に提供されるのだ。モバイル環境が整備され、クラウドコンピューティングが注目され始めたことで、マイクロソフトが戦略を大きく転換したのである。マイクロソフトによれば、どのOfficeを使って編集しても、文書の互換性は完全に維持できるという。製品のこうした提供スタイルに、ユーザーは混乱しないのか。3種類をどう使い分ければいいのか。今回は、米国本社でOffice製品群の製品管理やマーケティングの指揮を執る沼本健氏に話を聞いた。沼本氏は米マイクロソフトに入社し、社員からコーポレートバイスプレジデントへの昇進を果たした初の日本人である。

■3種類のOfficeを提供することになった経緯を聞かせてください。

 これは、我々にとってとても自然なことです。Office 2003以降、当社は統一したシナリオの下で、Office関連の全製品のスケジュールをきっちり合わせて提供するようにしました。すべてのOffice 群がきちんとつながって動くことは、ユーザーにとって大きなメリットです。

 最近は、アプリケーションだけでなく、サービスも提供するようになりました。ユーザーにとっての有益なシナリオを実現する環境をつくるには、個々のアプリケーションだけでなく、サービスという柱も必要だからです。ユーザーがインフラを用意しなくても、マイクロソフトのサービスを活用することでシナリオの実現を加速できます。アプリケーションとサービスを統一的に提供しようとした結果、3種類のOfficeに落ち着いたのです。

 それぞれのOfficeは、個々の利用シーンにおいて最適な機能を提供します。例えば、メモ代わりに携帯電話を使って写真を撮る人は多いでしょう。しかし、写真を撮る機能をリッチクライアント版やWebアプリケーション版に追加しても無意味です。ですから、3種類のどれがスーパーセットで、どれがサブセットかといったことを議論するのはつまらないことです。開発チームは、アプリケーションごとに一本化しています。例えば、一つのWordチームがデスクトップのWordはどうあるべきか、携帯電話では何をすべきか、ブラウザーではどう動作すべきかを考えるのです。

■Office 2010の機能の強化点は。

 リッチクライアント版では、動画、写真などを扱う機能を強化しました。例えば、簡単な動画編集ならPowerPointだけでできるようになっています。

 ユーザーがよく使う「カット&ペースト」も強化しています。我々の調査によれば、カット&ペーストの後、ユーザーが最もよく行う操作は「やり直し」です。貼り付けた結果に不満を感じるのです。そこでOffice 2010では、実際に貼り付ける前に、貼り付けたらどうなるかをプレビューできるようにし、貼り付け方を選べるように改善しました。

 Office 2010には、大きなビジョンが3つあります。「アイデアを容易に、また高度に実現すること」「共同作業をより容易にすること」「Officeをどこでも使えるようにすること」です。ただ、リッチクライアント版の強化だけでは、これらのビジョンは実現できません。リッチクライアント版がサーバーやサービスと連携するからこそ、実現できることもあります。

 例えば、複数の人がかかわって文書を作るときは、バージョン管理が面倒です。ある人が作った文書を別の人が手直しする作業を繰り返すと、バージョンの異なる文書がたくさんできます。それを電子メールに添付して関係者に同報し、必要なページだけを印刷して修正し、ほかの人が修正したページを集めて手作業で取りまとめる。こういう効率の悪いやり方はやめよう、と我々は言いたいのです。

 Office 2010なら、1つのファイルをSharePointサーバーやWindows Liveで提供するサービスの上に置くことで、複数の人による共同作業が可能になります。誰がどこで何をしているのかを確認しながら、協調して文書を作成できるのです。

 今後は、トータルでどんなソリューションを提供するかが大切になっていくでしょう。製品とサービスを連携させたソリューションは、今までも提供していました。しかし、その機能を利用できるのは、企業ユーザーなど一部に限定されていたのです。Office 2010では、これを改善します。統合化されたシナリオを、誰でも簡単に「当たり前」に利用できるようにするのです。