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 学校のICT化を推進するために「スクール・ニューディール」構想が掲げられた。この中で大きく取り上げられている設備の一つが、「電子黒板」である。しかし、電子黒板とは何なのか、どう活用すれば教育面で効果が上がるのか、といった点は、後回しになっているかもしれない。機器を導入するだけでは、ICT化は実現できない。そこで今回は、情報教育に詳しい白鴎大学教育学部の赤堀侃司(あかほりかんじ)教授(教育工学)に、電子黒板の可能性や活用のポイント、さらに、日本の情報教育現場が今後克服すべき課題などを聞いた。

(聞き手:中野 淳、菅井 光浩=日経パソコン)

電子黒板を活用しよう!

先生にとってハードルが低い

 一般ユーザーと同様、先生たちのパソコンリテラシーも、だんだん高くなっています。かつてのように、キーボード入力などの基本操作ができるかどうかは、もうほとんど問題ではありません。とはいえ、授業でパソコンを使うとなると、やはり、100%の先生が活用できているわけではありません。

 では、電子黒板はどうでしょう。電子黒板も新しいツールですが、先生にとって、電子黒板は、パソコンよりはるかにハードルが低いようです。電子黒板とパソコンは別の機器と感じる先生が多いように見受けられます。電子黒板は文字どおり「黒板」なんだ、という考え方が浸透しつつあるのです。しかも、単なる黒板でなく、対話できる黒板であるという概念が、先生の間に広がっているので、これは普及しそうだ、と我々は見ています。

 パソコンをはじめとするICTを教育に活用しようという発想の原点には、「個別学習」の考え方があります。例えば、子どもが40人いれば、能力の違いがあって当然です。パソコンを使えば理解度/習熟度のアンバランスを解決できるのでは…と夢を描いたわけです。そこで、学校にコンピューター室という専門教室が作られました。しかし、この専用教室は、どの教科でも使い勝手が悪かったようです。例えば、理科であれば、コンピューター室では実験ができない。数学であれば、黒板とコンピューターを併用しづらい。ですから、普通教室で授業をしながらコンピューターを使えないかという要望は、常にありました。

 その後、教室に大きいプロジェクターとパソコンを1~2台置くといった、いわば視聴覚教室のような使い方が示されました。しかし、これも「見せるだけ」「見るだけ」「話すだけ」「聞くだけ」と一方通行になってしまいます。これに対し、電子黒板は、先生が今までなじんできた黒板、OHP、ビデオといった道具が、インタラクティブなボードになったイメージです。視聴覚教室の設備に似ているけれども、対話したり書き込みができたりする点が、先生にとってとても使いやすいのです。