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 10月22日、Windows 7の発売が始まった。東京・秋葉原では、深夜0時の発売開始を楽しみに待つ人で、久しぶりに行列ができた。Windows Vistaは法人ユーザーに浸透しないなど、成功したとはお世辞にも言えないOSだった。この反動もあり、Windows 7に対しては発売前から期待する声が大きかった。多くのユーザーが、シンプルで機敏に動き、信頼性が高いとの印象を抱いている。実際、Vistaをスキップし、XPからのバージョンアップを検討しているユーザーが多いと聞く。今回は、WindowsやOffice製品にエンジニアとして長くかかわり、 Windows 7開発の陣頭指揮を執った米マイクロソフトのWindows&Windows Live担当プレジデント、スティーブン・シノフスキー氏にWindows 7の開発の狙いと今後の事業展開について話を聞いた。

■Windows 7では、ユーザーの声を取り込むことに心血を注いだと聞きました。

 はい。ユーザーからのフィードバックを開発に反映する際は、どんな方法を採ったかなどの質的な取り組みの方が、ユーザー調査にかけた時間よりも重要だと考えています。ここでは、我々が意見を求めた、代表的な3種類のユーザーの例を紹介します。

 一つは、Windowsがプリインストールされたパソコンを作っているメーカーです。こうしたOEMメーカーの要望は、ユーザーのニーズを代弁するものとして、とても貴重です。例えば当社の協力の下、メーカーがパソコンを作る段階でコストを削減できるようになれば、それが転化され、一般ユーザーも恩恵を受けます。そこで我々は、OEMメーカーのパソコンの組み立てラインに出向き、ハードウエアにWindows 7を組み込む方法を学びました。こうして我々は、メーカーとパートナーシップを組みました。そして、Windows 7を非常に簡単で使いやすいOSに仕上げ、それを反映できるパソコンが作れるように心がけました。

 次に、周辺機器メーカーの声も聞きました。彼らは、自社の周辺機器のデバイスドライバーを提供するために、多くの時間と労力をかけています。周辺機器メーカーからのフィードバックを反映して搭載したのが、Windows 7の「デバイスステージ」です。これにより、周辺機器メーカーは、製品開発にますます力を注ぐことができるようになります。ユーザーも、OSと周辺機器の管理がスムーズに統合された環境を利用できます。

 最後はもちろん、パソコンユーザーです。我々は、パソコンが長期間にわたりどう使われているか、などを調査しました。中には、直接メールを送ってくれるユーザーもいました。Windowsの機能を提案するために、本当に様々なユーザーがエネルギーを注ぎ、フィードバックしてくれました。我々は、様々な視点に基づく多くのフィードバックを体系的にまとめ、どう展開するかを考えました。

 例えば、「メッセージやポップアップが頻繁に表示されて煩わしい。表示されないように、自分で設定できるようにしてほしい」といった意見がありました。そこで我々は、どんなメッセージが多く出るか、ユーザーが無視するメッセージは何かをしっかり調査し、Windows 7に反映したのです。

 我々は、Windows 7で採ったアプローチを今後も続けたいと思います。つまり、ユーザーがOSに何を求めているのかを、すべてのユーザーから聞いて、それを製品に反映していくということです。

■Windows 7を簡潔にアピールするとしたら、どう表現しますか。

 仮に、東京都庁のエレベーターに乗っていて、ひと言しか話せないとしたら「Windows 7はパソコンをシンプルにするOSです」と表現します。もう少し多くの時間、例えば屋上まで行く時間があるとすれば、「ホームネットワーキング」「デジタルテレビ」「マルチタッチのユーザーインタフェース」の3点を簡単に説明し、「Windows 7が入った新しいパソコンを買うと、この3つの機能が使えてワクワクしますよ」と言います。

 Windows 7の早期導入プログラムに参加した日本企業は、今年9月1日時点で、163社に上ります。プレリリース版を使用したユーザーは、全世界で800万人以上います。これは、Windows 7が「使える」「役に立つ」OSであることを示していると思います。

 発売したばかりですが、こうした状況から、Windows 7では過去に指摘された問題を克服できたと我々は考えています。同時に、製品やサービスをしっかり提供し、サポートもきちんとしていかなければと、謙虚な気持ちにもなっています。世界中のユーザーの手に、我々の製品が渡ることを期待しています。

■Windows 7にはメールソフトが付属しません。どうしてですか。

 Windows XPに付属する「Outlook Express」やVistaの「Windowsメール」に相当する、Windows 7のメールソフト「Windows Live メール」は、一部のメーカーのパソコンではプリインストールされていますが、パッケージ製品には含まれていません。これは、Windows Live メールが「Windows Live」の一つのサービスとして提供されているためです。Windows 7を大いに活用するために、このスタイルが適していると我々は考えています。

 Windows 7にどんな機能を組み込むか、我々は総合的に判断しました。この結果、インターネットに接続して利用する機能をWindows Liveにまとめたのです。メールはインターネットに接続して利用するものです。なので、Windows Liveに含まれるのが自然です。Windows Liveは、プログラムとサービスによって構成した一つのイノベーションと考えています。Windows Live メールを含め、プログラムもサービスも、マイクロソフトのサイトで無償で提供されます。

 ただし、こういった情報は、日本のユーザーにあまり行き渡っていません。そこで我々は、Windows 7をセットアップする作業の最中などに、必要な情報がメッセージとして表示されるようにしたり、Outlook ExpressやWindowsメールのヘルプで情報提供したりする取り組みを始めました。

■Windows 7では、一部でリボンインタフェースの採用を始めました。

 ユーザーインタフェースを考えるとき、「一貫性」を過剰に重視するのは、むしろ避けた方がよいと思います。これは、Officeでの失敗の教訓でもあります。一貫性を追求し過ぎ、「ファイル」「編集」「表示」というメニューの並びにこだわるあまり、最適なユーザーインタフェースを提供できず、機能が不自然に分散してしまったのです。

 ですから、Office 2007でもすべてのアプリケーションでリボンインタフェースを採用したわけではありません。こういった考えから、Windows 7のアクセサリーソフトでは「ペイント」「ワードパッド」「ムービーメーカー」だけをリボンインタフェースにしました。我々がリボンインタフェースに関して力を注いだのは、ソフトウエアメーカーが製品を開発しやすいようにすることです。各メーカーがソフトを実現するに当たり、リボンを使うのが適している、合理的だと考えるなら、ぜひリボンを採用してほしいと思います。おそらく今後は、多くのソフトでリボンインタフェースが採用されるようになるでしょう。