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 マイクロソフトは2009年12月4日、ITスキル講習の提供などを通じて若者の就労を支援する「ITを活用した若者就労支援プログラム」を2010年1月から開始すると発表した(関連記事)。同社ではこれまでも、女性の就労を支援する「女性のためのUPプログラム」など、社会的な困難を抱えた人々に対する、あるいは教育分野でのIT活用支援に取り組んできた。こうした企業市民活動を実施する経緯や狙いについて、米マイクロソフトでグローバルでの企業市民活動を指揮するコーポレートバイスプレジデント グローバルコーポレートアフェアーズ担当のパメラ・パスマン氏に話を聞いた。

■マイクロソフトが企業市民活動において、IT活用の支援プログラムに力を入れ始めたのはいつごろからですか?

 マイクロソフトの設立当初から、地域社会における活動は積極的に行ってきました。日本においても、90年代から障害者や高齢者に向けてITを説明するプログラムなどを行っています。そして2003年には、グローバルで大きな2つのプログラムを策定し、世界中の各地域で大きなインパクトを与えられるような活動を始めました。その意味では、ITスキルをトレーニングするようなプログラムを本格化したのは、この2003年からと言えます。

■具体的には、どのようなプログラムですか?

 一つは「UP(Unlimited Potential)」プログラムと呼ばれるもので、日本では女性をターゲットにした「女性のためのUPプログラム」を展開しています。今回発表した新しいプログラムは、その拡張版として若者にフォーカスしたものです。経済が大変な時期である今の時代には、若者たちへのケアが必要だと考えました。

 もう一つは「ICTスキルアッププログラム」で、小中高等学校などの教職員のITスキル向上を支援し、教室にITを導入していくという趣旨のプログラムです。

 2003年から始めたUPプログラムでは、100カ国以上の地域の4万カ所のセンターにおいて、累計で1億6000万人に対して実施しています。またICTスキルアッププログラムでは、112カ国で680万人の教育者、1億6800万人の学生に対して手をさしのべることができました。

■そのように大規模な支援をするために、どのくらいの資金を投入しているのでしょうか?

 毎年予算を増額してきた結果、2008年度は、資金とソフトウエアの寄付が5億ドル以上に上りました。今後については、現在の環境を考えると微減という感じになりますが、その数字は変わる可能性があります。今後は世界全体でNPOに対するソフトウエアの提供を拡大する予定になっているからです。NPOのニーズによって数字は変わってくるでしょう。

■日本と海外で、プログラムや支援の仕方に違いはありますか?

 仕組みについては、日本でも海外でも同じようにやっています。ただ、対象となる受益者は地域によって異なります。例えば、米国では失業者にフォーカスしていますが、若者の人口が多いブラジルや中東では若者を対象にしています。女性の雇用機会が少ないいくつかの国々では、女性をターゲットにしています。マレーシアや日本もそうです。中国では、田舎から大都市に移ってきた労働者を対象にしています。

 どういう人々を対象にするのかは、当社の現地法人が各地のNPOの人々と協力関係を結びつつ、どういう人たちを支援するのが大きなインパクトにつながるのかを検討して決めています。プログラムの対象となる女性や若者、障害者など、それぞれの方々に対する知識を最も深く持っているNPOの方々と協力したいと考えています。

■プログラムを通じてソフトウエアを提供されていますが、NPOの中には、「ソフトウエアをもらっても、それを使うハードウエアがない」というケースもあるようですが。

 長年にわたり、かなりの時間を割いてハードウエアベンダーとは話をし、NPOへのハードウエア提供をお願いしてきましたが、失敗に終わっています。時にはハードウエアを提供してくれることもありますが、十分ではありません。

 そこで当社では、企業などから不要になった中古パソコンを提供してもらい、それを修繕したり、新しいWindowsライセンスを付与したりして、必要とするNPOや学校に提供するというプログラムを行っています。これは1社だけではできないことなので、NPOや企業の協力を得ています。

■意地悪な見方をすると、IT活用を支援するこうしたプログラムは、企業市民活動とはいえ、最終的には御社の利益につながるのではありませんか?

 時には、このプログラムの恩恵を受けた方が、巡り巡って当社の製品を使い、当社の利益につながることがあるかもしれません。しかし、それがこうしたプログラムを実施する理由になっているわけではありません。

 だいぶ前になりますが、社内でそのような議論をしたこともあります。ただ結論としては、私たちが最も知識を持ち、専門性を持つ分野において実施する方が、他者ができないような大きな規模で、大きなインパクトを持って社会に役立てると考えています。