2010年前半のリリースが予定されている「Office 2010」は、20年に及ぶOfficeの歴史の中で、一つの転換点を迎える製品になる。パソコンにインストールして使う通常の「パソコン版」(リッチクライアント版)に加えて、携帯電話(スマートフォン)上で動く「携帯電話版」(Office Mobile 2010)、Webブラウザー上で動く「ブラウザー版」(Office Web Apps)という3種類の製品を同時に開発し、提供する初めての製品となるからだ。中でも注目は、全く新しい試みとなるブラウザー版のOffice。個人に対しては、「Windows Live」サービスを通じて無償で提供されることもあり、ユーザーの期待が大きい。製品全体のコンセプトやブラウザー版の位置付け、すべての製品に全面展開されることになったリボンインタフェースの改善点について、米マイクロソフトで開発チームを率いるアントワーン・レブロンド氏に話を聞いた。
■Office 2010の開発の主眼は、場所やデバイスを問わず、どこからでも情報にアクセスできる環境を作るという点なのでしょうか?
そうです。Office 2010の大きなテーマが、リーチを広げること、広く利用できるようにすることです。現在、Officeはパソコンで使われることが多いですが、人々のモバイル化はますます進んでいます。米国では、大手企業の約90%が在宅勤務を認めていて、異なるオフィスや異なる場所で仕事をすることも認められるようになりました。
そこで我々は、あらゆる環境においてOfficeを利用できる環境を作りたいと思っています。パソコンの前に座っているときだけでなく、携帯電話を使っているときや、Webブラウザーとインターネット環境しかない場所でも仕事ができるようにしたいのです。