PR

 スペインで開幕した世界最大級の携帯電話の展示会「Mobile World Congress 2010」(以下、MWC)では、米マイクロソフトが携帯電話向けプラットフォームの最新版「Windows Phone 7」を発表し、来場者から注目を集めている。ただ同社はブースを用意するものの、残念ながらWindows Phone 7対応の端末は展示していない。そこで日本法人においてモバイル関連事業を担当する越川慎司氏に、Windows Phone 7の補足説明と日本での展開予定について現地で話を聞いた。

■根本からGUIを作り直したが、基本コンセプトは何なのか。

 ハブという概念を持ち込み、従来のアプリケーション単位ではなく、目的別に情報を整理して表示できるようにしたことだ。ハブには、「人物」「写真」「音楽と動画」「オフィス」「ゲーム」「アプリケーション」の6種類がある。スタート画面からハブを切り替えることで、階層を降りていくイメージだ。GUIの設計に際しては、携帯音楽プレーヤーの「Zune」を参考にしている。完全に同じではないが、非常に似た印象を持つかもしれない。

 このハブに対して、弊社が提供する各種オンラインサービスが横串で連動できるようにしたのが、Windows Phone 7の特徴になっている。

■「音楽と動画」ハブは、Zuneとほぼ同等の機能なのか。

 音楽と動画を管理する方法や表示の仕方は同じといってよい。Zuneを生かした点としては、パソコン側にインストールしておくソフト「Zune」も流用したことが挙げられる。楽曲や動画をWindows Phone 7端末に転送する際には、Zuneソフトを用いる。ただ、従来「My Phone」という名称で携帯電話のデータをパソコン側にバックアップする機能を追加するなど、手は加えてある。

 なお、現行のZuneはFMラジオを内蔵している。Windows Phone 7でも、FMラジオの機能をオプション扱いで用意してあり、チューナーを搭載した製品が出る可能性がある。

■Webブラウザーが、デスクトップ版の「Internet Explorer」ベースに改良されたと聞いたが。

 その通りだ。昨年発表したWindows phone(OSはWindows Mobile 6.5)で、すでにInternet Explorerのエンジンを採用したWebブラウザーへ変更をしている。結果として、従来より飛躍的に描画速度が向上している。Windows Phone 7ではさらに改良を加え、マルチタッチ式で画面を拡大縮小するなど使い勝手の面を高めた。

 弊社の検索サービス「Bing」への対応もWindows Phone 7の特色だが、実はBingに関しても旧版のWindows phoneで採用済みだ。

■Windows Phone 7ならではのハード面での特色はあるか。

 必ず3つのボタンがある点だ。一つは従来と同様にスタート画面を呼び出すなどできるボタン、もう一つがBingを呼び出すボタンだ。3番目のボタンの役割については、まだ公表できない。

 ボタンだけでなく、Windows Phone 7を搭載した製品を開発するメーカーに対しては、開発のための要求仕様を従来より厳格に決める方針だ。ネットサービスとの連動性を強め、GUIを大きく変更したことに伴い、ハード側にある程度頼らないとソフトがうまく動作しない可能性があるためだ。たとえるなら、車の土台部分のシャーシで、その形状を弊社が決め、その上で各メーカーに自由に開発していただこうというわけだ。

 具体的には、一つはCPUの性能はある程度高いものを採用いただくことになるだろう。Windows Phone 7の採用を表明した端末メーカーのリストの中に米クアルコムが入っているのは、その証である。同社はSnapdragonと呼ぶ、1GHzのモバイル向けCPUを製品化しているが、同クラスのCPUがWindows Phone 7を動作させるのに求められると考えてよい。

 “シャーシ”を決めることで、各メーカーの部品調達のコストを下げ、開発効率を高め、かつ結果として製品開発の期間を短縮できる効果も生まれると弊社は考える。これまでのWindows phoneより、安価な製品がスピーディに店頭に並ぶのではないか。

■発表では、日本の携帯電話会社が採用していない。

 日本の携帯電話会社とも前向きに話を進めていることは間違いない。ただ、日本語化の必要があるし、「音楽と動画」ハブで重要な役割を担う「Zune Marketplace」の国内導入も市場に製品が登場する時期を左右しそうである。Zune Marketplaceは、音楽や映画などを購入できる配信サービスだ。こうした事情から、記者会見で説明した最初の製品が登場する2010年末の時点では、欧米向けに先行して搭載製品が出ることになりそうだ。

 Windows Phone 7が登場しても、現行のWindows phoneは引き続き提供していく。Windows Phone 7の日本語化と並行して、Windows phoneの強化にも取り組むことで、日本のユーザーの期待に応えたい。

 ちなみにだが、Windows Mobileという用語は、現在はOSのバージョン名に過ぎない。現行バージョンはWindows phone、次期バージョンはWindows Phone 7と覚えてほしい。弊社の事情で恐縮だが、「p」が大文字と小文字で違うので注意してほしい。