PR

 安達寛高氏は、5年前に家庭用ビデオカメラを2台使用し、3Dの自主映画「立体東京」を制作した。当時は3D動画の制作についての情報が少なく、試行錯誤の連続だったという。

 大学時代から自主映画を制作していた安達氏は、実験的な作品を作りたいと考えていた。レンズ部が赤と青のメガネをかけるアナグリフ方式の3D映画を見たことがきっかけとなり、3D映画の制作を決めた。しかし、「インターネットで検索しても、3D写真についての情報ばかりで、動画を撮影したという人はいなかった」。そのため、3D写真の原理を応用し、3D映画を撮り始めた。最も困難だったのは、2台のビデオカメラで撮影した毎秒30フレームの映像を、ぴったり一致させることだった。「映像が少しでもずれていると、見ていて違和感があり、すぐ分かる」。この問題は、撮影を開始する際に手をたたいたり歯を鳴らしたりし、後で音の波形を見て一致させることで解決した。とはいえ、画像の合成や編集には、かなりの時間と技術を要した。

 「立体東京」は、引き込まれるような奥行きを感じられる場面が多い。一昔前に公開された3D映画は、飛び出す映画と言われ、インパクトを与える演出を多く取り入れていた。安達氏は飛び出す3D映画ではなく、立体感を生かした写真集のような映像を心がけた。「3D映画は、映画館に足を運ぶ意義を改めて感じさせてくれる。ぜひまた3D映画を制作したい」と言う。

 2009年には、3D写真や動画が撮影できるデジタルカメラが発売され、誰もが動画共有サイトに3D動画を投稿できるようになった。安達氏は、「『立体東京』を撮影したときと比べると、3Dの映像を撮影し、披露できる環境がどんどん整ってきている。もっと多くの人に、気軽に3D動画を撮ってほしい」と、3D映画市場のさらなる活性化を期待している。