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 「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズ、「精霊の守り人」などのテレビアニメ作品で高い評価を得ている神山健治監督。最新作は、テレビアニメとして放映され、続編が2本の映画になった「東のエデン」シリーズだ。これまで近未来SFやファンタジーを描いてきた神山監督がこのシリーズの舞台に選んだのは、ほんの少し先の未来、2011年。そこで、世界を救う義務を負わされた12人の救世主(セレソン)に選ばれた滝沢朗と、彼を見守る森美咲の11日間を描く。

 物語の背景には、社会と断絶する若者たちや社会に漂う閉塞感など、現実社会が抱える問題が影を落としている。これらの問題にどう立ち向かうか。それは、物語の登場人物たちだけでなく、私たち自身が直面している問題だ。

 原作・脚本も手がけた神山監督は、この作品を通じて何を伝えたかったのか。2010年3月13日に、シリーズ完結作となる映画「東のエデン劇場版II Paradice Lost」を公開した神山監督に話を聞いた。

かみやま・けんじ:1966年生まれ、埼玉県出身。高校卒業後、スタジオ風雅に入社。劇場アニメ「AKIRA」「魔女の宅急便」などに背景スタッフとして参加後、フリーに。「人狼 JIN-ROH」で演出、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」で脚本を担当。2002年の「ミニパト」で初監督を務めた。その後、テレビアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズ、「精霊の守り人」「東のエデン」などを監督(撮影:中村 宏)
かみやま・けんじ:1966年生まれ、埼玉県出身。高校卒業後、スタジオ風雅に入社。劇場アニメ「AKIRA」「魔女の宅急便」などに背景スタッフとして参加後、フリーに。「人狼 JIN-ROH」で演出、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」で脚本を担当。2002年の「ミニパト」で初監督を務めた。その後、テレビアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズ、「精霊の守り人」「東のエデン」などを監督(撮影:中村 宏)

■「東のエデン」シリーズの舞台は2011年、すぐ目の前の未来です。設定としてその時期を選んだのはなぜですか?

 「東のエデン」は当初、フジテレビの「ノイタミナ」という深夜アニメ枠向けの企画でした。この枠は比較的若い女性も見るそうです。そこで、アニメファンだけでなく、普段あまりアニメを見ない若い女性でも面白く見られるアニメにしてほしいというのが企画の前提にありました。

 そう考えたとき、現実離れした世界よりも今に近い状況を舞台にした方がいいんじゃないかと思ったんです。いちいち説明しなくても世界観がつかめる。「これは自分たちの身に起きている話なんだ」ということを見た瞬間に分かってもらえるだろうと思いました。それで企画スタート段階の3年後、2011年という設定にしました。

■確かに「東のエデン」を見ていると、私たちが過ごしている現在とほとんど変わらないように思います。

 3年後の未来と考えていたんですが、ほぼ追いつかれちゃったなという感じはしますね。iPhone用のアプリケーション「セカイカメラ」※1が発表されたとき、劇中に出てくる「エデンシステム」と似ていると思いました。

 

[※1 編集部注]「セカイカメラ」は頓智ドット(トンチドット)が2009年12月に公開したiPhone向けの拡張現実(AR)アプリケーション。アプリケーションを起動し、iPhone内蔵のデジタルカメラを対象物に向けると、対象物とそれに関連する文章や画像(「エアタグ」と呼ばれる)が合わせて表示される。エアタグはユーザーが自由に付加できる。一方、劇中に出てくる「エデンシステム」も拡張現実を利用したシステム。携帯電話などのカメラを対象物にかざすと、画像認識エンジンがそれを認識。その対象物について書き込まれた情報を検索、表示する。両者はよく似ているが、2008年に「東のエデン」を企画した段階ではセカイカメラは発表されていなかった。