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 富士通が、オランダの富士通シーメンス・コンピューターズ(FTS)を完全子会社化して約1年が経過した。1999年に富士通が独シーメンスと共同で設立したFTSは、欧州でサーバーやパソコンなどを開発し販売する役割を10年近く担ってきた。2008年11月に、富士通はFTSを子会社化することを発表。2009年4月には富士通テクノロジー・ ソリューションズとして再スタートさせた。一連の流れの中で同社は、全世界的にパソコンの開発体制を改変した。世界的に通用する製品作りを指向し、パソコンの開発拠点を日本に一元化。現在、ブランドの再構築に望んでいる真っ最中である。そこで執行役員パーソナルビジネス本部長の齋藤邦彰氏に、新体制での富士通ブランドの強みと今後の世界戦略について話を聞いた。

■パソコンの開発体制は、以前とどう変わったのか。

 富士通シーメンス・コンピューターズ(FTS)を子会社化する以前、富士通グループはパソコン事業を地域特化型で展開していた。特に欧州では、FTSが米国や日本とは違った製品を開発し、これを販売してきた。現在は、「富士通」というアイデンティティを基に、同じ製品や同じサービスを提供する方針に改めた。FTS時代の開発体制を見直し、特にノートパソコンは日本で全世界向けに共通の製品を開発するようになった。ノートパソコンは地域によらず求められる仕様などが同じだからだ。

 一方、デスクトップパソコンは、地域ごとに製品に対する要求が違う。日本では法人向けなら小型タイプが約9割、個人向けなら一体型が約7割を占める。ところが欧州では、7~8割がいまだに法人・個人問わずタワー型が中心。このため、開発を一元化した現在でも地域特化型で製品を開発するようにしている。

■結果として、品質や価格面で、ユーザーにメリットは出せるのか。

 これまで日本で売っていたパソコンと同じ品質の製品が、今後は全世界で富士通ブランドを冠して均一に流通することになる。故障しにくいなど、日本製品ならではの高い信頼性を、海外の人々にも分かってもらえることを期待している。

 サービスも、横断的に提供していく方針だ。例えば世界各地に拠点を持つ企業を対象に、同一の保守サービスを提供する。もちろん日本の個人ユーザーが海外に富士通製パソコンを持って行った際、万が一故障したら現地で修理できるような体制も整える。

 FTSを子会社したことにより、当然パソコンの価格を押し下げる効果が今後出てくるだろう。共通のハードを使うモデルが増えるので、部品の調達コストは下がる。液晶パネルやハードディスク、光学ドライブといった心臓部を担う部品は、パソコンの部品にかかるコストのうち、約6割を占める。これらが、1台当たりで安価になるのはもちろんなのだが、注目は残りの4割の細かな部品類。これらの調達コストも大幅に下げられるとみている。