アニメやゲームのキャラクターで車体を装飾する「痛車(いたしゃ)」がファンの間で流行している。名前の由来は、興味のない人が見ると、痛々しく感じるため。その痛車を、タクシーで“やってしまった”人物がいる。宮城県白石市のタクシー会社に勤める田中健一氏だ。クリプトン・フューチャー・メディアの人気ソフト「初音ミク」などのキャラクターで、自分の営業車を「痛タクシー」に仕立て上げた。
「痛車と言えば自家用車が当たり前。どうせなら、前例のないタクシーでやりたかった」と動機を語る。田中氏が最初に手がけた痛タクシーは、戦国武将を操るゲーム「戦国BASARA」のキャラクタータクシー。ここ数年の歴史ブームの火付け役になったゲームだ。
同ゲームの人気武将「片倉小十郎」の居城だった白石城を目当てに、白石市への観光客が増えていると感じていた田中氏。同ゲームの人気に便乗したバスやタクシーを走らせれば観光客増につながると考え市長や市役所に提案。その結果、戦国BASARAバスは2008年春、タクシーは2009年春に実現し、白石市の名物になるほど好評だった。
戦国BASARAバスは今でも走っているが、タクシーについては権利の関係で2009年10月に終了。次に田中氏が挑戦したのが初音ミクのタクシーだ。クリプトンにキャラクターの使用許可を求めたところ、営業・広告・宣伝はしない条件で、期間限定で許可を得た。