![]() | |
![]() | |
![]() | |
![]() | |
渡辺 敏博(わたなべ としひろ) 1962年、鹿児島県生まれ。東京農工大学大学院の修士課程を修了。1998年に日本電気株式会社(NEC)に入社。入社後一貫してパソコンの商品企画を担当する。2009年にNECパーソナルプロダクツの商品企画開発本部長代理に就任。商品企画の責任者として製品の企画に当たっている | |
(撮影:村田 和聡) | |
![]() |
ここ数年、米国や台湾のパソコンメーカーに押され気味だったNECが、この春から大攻勢に出ている。ノート、デスクトップ、ネットブックの各分野で2位以下に大差を付けて首位を快走。2年ぶりに、販売台数の国内シェアを20%台に戻した(BCN調べ)。好調の要因は何か。商品企画の担当者に話を聞いた。
■都内の電器量販店で「この春商戦はラヴィ(NECのノート)がよく売れた」という話を至る所で聞きました。御社では、結果をどう総括していますか。
おかげ様で、事前の予測を大きく上回る販売台数を達成できました。
特に良かったのが、今お話のあったノートです。主力のラヴィLシリーズのLL750/WGとLL550/WGが、販売ランキングの1位と2位を独占しました。また、デスクトップ部門では、ディスプレイ一体型のバリュースターNがトップを堅持し、ネットブック部門もラヴィライトが首位でした。結果として、各カテゴリーで当社の製品が1位を独占したわけです。ほぼ満点の成果と言っていいと思います。
■海外メーカーには、8万円台でコアi5のノートを出しているところもあります。それより3万~5万円高いラヴィが、これだけ売れたのはなぜでしょう。
今のお客様は非常に目が肥えています。「長く大切に使える機種はどれか」「やりたいことを快適にこなせるモデルはどれか」といった角度から、いろいろな製品をじっくりご覧になる。その目がねにかなう製品を提供するためには、仕様に一切の妥協を排して、品質を極限まで高めていくしかありません。
夏モデルのLL750/ASを例に取ると、本体のボディ表面に、ガラスの微粒子をフィルムと一体成形して貼り付けることで、キラキラ感を演出しています。また、左右だけでなく背面にもUSBポートを付けるなど、端子の配置にも徹底的にこだわりました。
やはり、当社の製品を買っていただく以上、基本性能の高さだけでなく、持つ喜びや使う楽しさも感じていただきたい。そのためには、お金に見合った価値をしっかり提供しなくてはなりません。それを、ノートだけでなくデスクトップ、ネットブックなどあらゆるカテゴリーで徹底した。それが、春商戦で評価をいただいた理由かと思います。
■ところで、ゴールデンウイークから始まった夏商戦では、ラヴィSという新シリーズを投入しました。コンパクトで魅力的な製品ですが、主力のLシリーズとかち合う心配はありませんか。
それは、まったく心配していません。
もともと、今回のSシリーズは、お客様へのヒアリング調査から生まれたものです。エントリーユーザーを中心に「高機能もいいが、それよりもっと薄いノートが欲しい」とか「普及価格帯の製品でも、色のバリエーションを増やしてほしい」といった声をたくさんいただきました。そこで、Sシリーズでは本体の厚さを5ミリ、奥行きを18ミリ減らすと同時に、色を4つのパターンから選べるようにしたのです。その一方で、最上位モデルのCPUにコアi5を搭載したり、全モデルにテンキー付きのキーボードを採用するなど、基本性能もきっちり確保しています。
ただし、Sシリーズと上位のLシリーズには明確な違いがあります。例えば、Lシリーズは全機種ブルーレイを搭載していますが、SシリーズではすべてがDVDスーパーマルチです。液晶ディスプレイの鮮やかさや、ボディの質感・光沢に至るまでさまざまな面で違いがあります。ですから、しっかり棲み分けできるはずですし、今のところLシリーズの販売にもほとんど影響は出ていません。