毛筆で書く「書」にグラフィックデザインを組み合わせ、鮮やかな作品に仕上げる「デジタル書」をご存じだろうか。デジタル書作家協会の発起人でもあり、現在は会長を務める小野佳風氏は、「デジタル書は、アナログの書とデジタルグラフィックの融合物」と語る。デジタルグラフィックの技術が進化しても、筆で紙の感触を感じながら文字を書く感覚までを再現することはできない。まさに、両者が融合したことで実現する作品だ。
デジタル書誕生のきっかけは、書道教師でもある小野氏が書道を教えていたWeb制作会社での出来事だった。あるとき生徒が、自分で書いた書をパソコンに取り込み、画像加工ソフトでデザインし始めた。Windows 95時代からWordやExcelなどパソコンを活用していた小野氏も興味を持ち、制作を始めた。