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わだ・えい 1987年生まれ。旧式のテープレコーダーを複数台用いて合奏するグループ「Open Reel Ensemble」の中心メンバーとして活動開始。文化庁がメディア芸術の発展を図り開催する「文化庁メディア芸術祭」で2009年、テレビモニターを楽器として組み替え演奏するソロプロジェクト「Braun Tube Jazz Band」がアート部門優秀賞を受賞した。2010年8月~10月、ドイツを中心に海外ツアーを行う。現在数々の名義で活動中。(撮影:加藤 康)
わだ・えい 1987年生まれ。旧式のテープレコーダーを複数台用いて合奏するグループ「Open Reel Ensemble」の中心メンバーとして活動開始。文化庁がメディア芸術の発展を図り開催する「文化庁メディア芸術祭」で2009年、テレビモニターを楽器として組み替え演奏するソロプロジェクト「Braun Tube Jazz Band」がアート部門優秀賞を受賞した。2010年8月~10月、ドイツを中心に海外ツアーを行う。現在数々の名義で活動中。(撮影:加藤 康)
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 それは言わば電磁波が弾ける音か。複数並んだテレビが砂嵐を映し出す。画面をたたくと砂嵐から未来的なメロディーが流れる。テレビはテレビの形のまま、楽器になる。

 薄型テレビに押され影の薄いブラウン管テレビ。楽器に変えた仕組みはこうだ。音声を映像としてブラウン管に映す。その際に表面が発する電磁波を手で拾うことで、再度音声信号にする。この所作が、ちょうど太鼓をたたいたりピアノを弾いたりする格好になる。

 考案したのは和田永氏。メディアの可塑性や復元性の技術を表現活動にまで高めたとして2009年、文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞を受賞した。出演依頼が殺到し、今年8月~10月の2カ月間、自身初めてという海外ツアーで30回ものソロライブを行った。

ブラウン管をたたいて演奏する和田氏のパフォーマンス「Braun Tube Jazz Band」。基本構成はブラウン管12台、パソコン1台、PAシステム一式で、1回の演奏時間は30分ほど
ブラウン管をたたいて演奏する和田氏のパフォーマンス「Braun Tube Jazz Band」。基本構成はブラウン管12台、パソコン1台、PAシステム一式で、1回の演奏時間は30分ほど

 テレビの知られざる“能力”に気付いたきっかけは、iPodの音声端子をテレビの映像入力に偶然つないだこと。“間違った”使い方が、「使われなくなりつつある機械から新たな価値を引き出す」和田氏の音楽活動の柱だ。