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 2011年のパソコン業界は大きな変化が起きている。NECと中国レノボ・グループが合弁会社を設立し、米ヒューレット・パッカードはパソコン事業の見直しを決めた。スマートフォンやタブレット端末も存在感を増している。

 モバイルノートパソコン「Let's note」と堅牢パソコン「TOUGHBOOK」を開発・生産するパナソニックも、そんな変化と無縁ではない。Let's note発売から15周年を迎えた節目の今年、同社のパソコン事業を統括するビジネスユニット長に就任した原田秀昭氏に、同社のパソコン事業の戦略を聞いた。

■パソコン事業の基本戦略は。

 Let's noteはモバイルノートパソコンで、個人と法人、両方の顧客がいます。TOUGHBOOKは国内では主に法人向けに販売する、業務用堅牢パソコンです。

 この2つのブランドで顧客の生産性向上に貢献していくという姿勢は、今後も変わりません。モバイルの領域に特化し、製品を差別化するということです。ポイントは、「軽量」「長時間」「堅牢性」を兼ね備え、そして「高性能」なパソコンであること。この4つの特徴を堅持します。

 これらは実は、顧客の声を聞いて困っていることを解決する、その積み重ねから生まれたものです。これからも国内外の顧客の話を聞きながら、技術力で事業を拡大していきたいと思っています。

■「顧客の声」を、どうやって聞きますか。

 まず、法人顧客であれば、話を直接聞く“面積”を増やしていきます。首都圏に加え、地方の顧客と話す機会を今年度は意識的に持つつもりです。これは日本だけではなく、米国や欧州でも同じです。

 例えば、Let's noteであれば、Let's noteの主力生産拠点である神戸工場に実際に来ていただく。向こう3年間を見据えて理想の製品について語ってもらうということを行っています。

 単にパソコンとしてだけでなく、情報システムの一部として導入していただいている顧客に対しては、話し合いを持ち、要望に応えていくことで、一緒に次のインフラを作るという作業をしています。

 営業担当者はもちろんですが、開発や品質管理、システムエンジニアといった職能を持つ担当者が直接顧客のところに行くこともあります。こうして集める情報は膨大で、手応えを感じています。

 個人向けの商品であってもそれは同じです。例えばLet's noteの新製品を直接試せるイベントのタッチ・アンド・トライコーナーがあります。これは商戦ごとに開催しています。そこで顧客と話すのは、イベント会社のスタッフではなく、実際の設計者など技術の担当者です。

■3万円台のノートパソコンも出ています。そうした現状にどう対応しますか。

 もちろん、当社もコストダウンの努力はしていきます。ただ、重要なのは、自分たちの立ち位置を保つことです。それは、3万9800円という価格帯のパソコンではなく、きちんと差別化された製品を出すことにほかなりません。他社にはない商品を提供することで、顧客は付いてきてくれる。そうすることで、事業は継続できると思っています。

 幸い、Let's noteを使い続けてくれている個人・法人の顧客がいます。ハードウエアだけではなく、サービスやサポートまで含めて、これまでに築いてきた信頼関係があります。それはそう簡単には崩れないものです。「TCO(Total Cost of Ownership、コンピューターシステムの導入・運用・管理に掛かるコストの総額)の観点で見れば、パナソニックのパソコンを使い続ける価値がある」。そう思ってもらえるのではないでしょうか。

 今後2年くらい、業界は非常に荒れるでしょう。数と価格で勝負となると利益率は低くなり、それが再編を促している部分もあります。もしかすると撤退や売却を考えるメーカーもあるかもしれません。そうならないようにするカギはやはり差別化だと考えています。

 Let's noteに関しては、国内生産にこだわっていきます。台湾に海外向けの工場があり、指導したり、ノウハウを共有したりするにしても、国内に技術がないとできません。顧客の顔、距離の近さを感じながらものづくりをしたいと思います。TOUGHBOOKは法人向けであり、かつ特定用途で出しています。そうした特徴を生かしたビジネスモデルを描きたいと考えています。