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 レポート作成に文献調査、教職員や友人とのやり取りなど、大学生にとってパソコンはもはや必携のツール。大学入学時に新たにパソコンを購入する学生も多いが、誰もがすぐに使いこなせるわけではない。思い通りの操作ができなければ、課題提出もままならないという困った事態に陥ってしまう。

 こうした迷える新入生に向けたパソコン講座を開催しているのが、京都大学生活協同組合(京大生協)だ。毎年、多くの受講生を集めているという。この取り組みの目的や効果について、京大生協の中森一朗専務理事に聞いた。

■講座について詳しく教えて下さい。

 大学生協のオリジナルパソコンを購入した新入生を対象に、京大生協主催で開催しています。組合員である学生同士が集まって、講習をしています。先輩が講師を務め、後輩に教えているのです。4月から7月にかけて、全6回で開催します。受講料は2万8000円と有料ですが、購入者の半分前後が講座にも申し込みます。

 講座は、オリジナルパソコンの付加価値にもなっています。先輩からレポートの書き方を教えてもらえる、といったところは、価値が高い部分です。保護者に勧められて受講する新入生も多くいます。

 講座の開催は、2002年頃から始めた取り組みです。京大は、学生に手取り足取り教える大学ではありません。そうした中で、生協がこうした講座を開催するというのは意義がある、と、京大の先生からも評価されています。

■講座では、どのような内容を扱っているのですか。

 WordやExcelの使い方なども教えますが、大学の講義でパソコンを使うときに困ることを主眼にしています。例えばプレゼンテーション作り。高校生でもPowerPointは使えますが、アニメーションを多用したりしがちです。そうではなくて、人に伝えるためにはどう作ればよいか、をテーマにします。

 レポートを書く方法も教えます。Wordは使えても、論理性のあるレポートを書けるかというと話は別です。大学に入ってレポートというものを初めて書く学生も多いでしょう。Wordを一つのネタにしながら、いかに論理性のある文章を書くかということに取り組みます。前期の終わりには、それなりにしっかりしたレポートを書けるようになります。

■小手先のテクニックではなく、深みのある内容ですね。

 講習はグループを作って進めるのですが、模擬のブレストをしたりもしています。それを基に、レポートやプレゼンテーションをするのです。レポートを先輩の学生が添削して返す、といった取り組みもしています。

 教える側も、ティーチングの領域に踏み込んで技術を磨いています。例えば、模擬講座。先輩たちが生徒役を務め、新たに講師を務める学生を鍛えます。コアとなる先輩が、後輩たちにスキルを伝授しながら講座を続けているのです。

 ただ、学生組織の維持は難しい点もあります。単にパソコン講座の講師募集のポスターを貼っていても、それだけではうまくいきません。

 回を追うごとに、新入生の出席率が下がるという問題もあります。「自分はもう分かっている」と思い込んでいる学生は、来なくなるのです。実際は、パソコンやソフトの使い方は知っていても、レポートの書き方や情報モラルなどが身に付いていない学生は少なくありません。こうした学生の出席率をいかに上げるかは、毎年課題になっています。

■近頃の大学生の情報モラルについて、どう見ていますか。

 新入生と毎年接していると、年々、パソコンのスキルは上がっていると感じます。特にPowerPointのスキルなどについては、急速に向上しています。

 しかし、マナーやモラルについていえば、逆に悪くなっているのではないでしょうか。最近はスマートフォンなども普及していますが、こうした携帯端末でのやり取りのマナーをベースにして、パソコンを使う学生も増えています。情報モラルについては、高等教育の中で改めて身に付けていく必要があると思います。