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まずは事例から


こうして私はだまされた ~ Cさんの場合

 毎晩のようにネットオークションに精を出すCさん。迅速な振り込みや商品発送をモットーにしているので、出品者と落札者が互いを評価する「評価システム」では、「非常に良い」や「良い」の評価を受けることがほとんどだ。

 そんなCさんに、ある日1通のメールが届いた。送信者名は、ネットオークションのサポートセンター。件名は「重要なお知らせ」。メールを開くと、「オークションの利用を継続するには、会員情報の更新が必要です。更新されない場合には、出品制限などの不具合を起こす場合があります」。

 それは一大事。Cさんは、メールに書かれた更新用ページに慌ててアクセスした。

 アクセスしたページは、いつも利用しているネットオークションのロゴが貼られた、会員情報の登録ページ。さまざまな個人情報の入力を促している。オークションのユーザーIDにパスワード、名前に住所、電話番号、生年月日。クレジットカードの番号や有効期限、セキュリティコードまで要求している。Cさんは有料会員で支払いはクレジットカードなので、不審に思うことなく、すべての情報を入力した。「これでオークションを止められることはないだろう」。Cさんの悲劇はここから始まった。

私が詐欺師ですって?


 仕事が忙しくなってきたため、1週間ほどオークションを利用していなかったCさん。久しぶりにログインすると、なんということだろう。覚えのない多数の商品を、自分が出品していることになっていた。「一体どうなっているの」。

 評価のページには「非常に悪い」が並び、コメント欄には「金返せ!」「詐欺師め!」といった苦情の文句が並ぶ。

 あるときまで「非常に良い」の評価一色だったのに、あるときを境に「非常に悪い」が並ぶ。これは、最初は評価を上げて信用させ、ある程度上がったら、一気に架空の出品をして代金を振り込ませる「空出品詐欺」の常とう手段。評価だけを見れば、Cさんは典型的な詐欺師だ。Cさんは出品中の商品を急いで取り下げるとともに、ネットオークションの運営会社や警察などに相談した。

 悲劇はこれだけで済まなかった。郵送されてきたクレジットカードの明細を見ると、そこには、覚えのない請求が山のように書かれている。オークションのなりすましに気を取られて、クレジットカード情報を入力していたことを失念していた。慌ててクレジットカード会社に連絡したが、支払いが免責されるかどうかは分からないとのことだった。

 Cさんは、ここしばらくパソコンの電源を入れていない。この騒ぎが片付いたら、友人に売ろうと思っている。

(関係者への取材などに基づいたフィクションです)