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 一般のビジネスパーソンにも「プレゼンテーション」をする機会が広がってきているようです。PowerPointの導入率もだいぶ高くなりましたし、書店でもプレゼン術に関する本を数多く見かけます。プレゼン全体の成功は、人を引き付ける話術なども含めると実に様々な要素がありますが、今回ここでは「プレゼン資料の効率的な作り方」に話を絞ります。と言っても、きれいに装飾するためのテクニックの話ではありません。自分の考えがまとまり、相手に理解してもらいやすく、無駄のないプレゼン資料を作るためのステップのご紹介になります。

 プレゼンの出来の大部分は「構造の良しあし」で決まります。プレゼンを構成するスライドの流れや、各スライドが持つ情報量や構造によって、聞き手の理解度は大きく左右されます。優れたプレゼンが優れている第一の理由は、決して色使いがきれいだったり、アニメーションが動いたり、かっこいい絵柄や図が貼られているからではありません。そういった表面的なテクニックに惑わされ、真っ先にそこに時間を割くのは大きな間違いです。特に、PowerPoint 2007になってからは、きれいなチャートを書くのがとても簡単になりました。そんなことはPowerPointに任せて後回しにし、まず骨組みをきちんと整えることから始めましょう。

まずプレゼンの全体構造をイメージする

 最初にプレゼンの目的、受け取る相手の性格や立場を理解し、プレゼンのスタンスを決めます。例えば、とあるソフトウエア企業が実施する顧客向けセミナーなら、「商品紹介を目的として50分間」「参加者は情報システム部門」「競合が多い分野で商品機能の話は聞き飽きている可能性が高いため、利用シーンや価値を中心に」「聞いたことを事業部門のエンドユーザーとの対話に役立ててもらえるようにエンドユーザー視点でストーリーを組み立てつつ」「情報システム部門に対する直接的な価値も必要なので、コストと保守性も最後にプッシュする」といったことを決めます。また、役員向けに事業報告を行う場合なら、「現状報告と対策への予算追加承認をもらうこと目的として20分間」「参加者は各ビジネスを担当する役員」「その事業が好調ではないことは既に知っているはずなので現状は手短に構造的にまとめることで、発表者が現状を正しく理解していることを証明する程度にとどめ」「戦略オプションをいくつか提示し」「判断しやすいように必要な予算と期待する効果およびその期間を明示する」とします。いざプレゼンを作り始めると、これらのポイントについてはつい忘れがちになりますので、1スライド目もしくはタイトルのノート部分にでも箇条書きしておくといいでしょう。

図1 全体構造を決めるために、プレゼンの概要をまとめる
図1 全体構造を決めるために、プレゼンの概要をまとめる
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 次に、ページ数を決めます。セミナーのように一方的に話す場合は、慣れている人で1ページ2分程度、慣れていない人なら3~4分を目安にして、合計ページ数を制限時間から逆算します。事業報告の場合は、途中でやり取りが発生する場合がありますから、相手次第ですが、もうちょっと長くなるはずです。しかし、セミナーと違って制限時間より早く終わっても問題ないので、ページ数は多くならないように心がけましょう。

 全体分量のあたりをつけたら、最初のスライドにアジェンダ、つまりプレゼンの展開のイメージを箇条書きしてみます。プレゼンは相手を説得するために行うものですから、起承転結があったほうが、聞き手に納得や感動が生まれやすくなります。例えば、ソフトウエアの提案なら、そのソフトウエアでなければならないという「結」に至るために、そのソフトウエアの利用シーンを取り巻く環境の確認からプレゼンを「起」こし、それを受けて一般的に言われている問題点や観念を「承」しつつ、実はその問題は表面的なものであり真の問題は別にあるとして「転」調し、最終的に競合他社との差別化要因を浮き立たせる、というふうになるでしょう。押したいポイントが複数ある場合は、全体の起承転結の流れの中に小さな転結を含めてもいいです。しかし、あまり構造が複雑になると、聞き手が頭を切り替えるのに疲れますので、ほどほどにしましょう。アジェンダがまとまったら、そのスライドは最初に見せる「本日の内容」ページとしても活用できます。