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 米国ではネットやスマートフォンの普及により、医療や健康管理の現場が病院から自宅にシフトし始めている。特に20代から30代では、高い医療費を払って医者に行く前に、まず自分で症状や治療法などを情報収集するのが当たり前になっている。iPhoneやAndroid端末といったスマートフォン人気を背景に、相次いで開発される健康管理や疾病管理、食の安全管理の安価な携帯アプリも、こうした動きに拍車をかけている。本特集では、今、米国で主流となりつつある、スマートフォンを使った医療や健康管理のトレンドについて、「食事管理」、「睡眠・運動の管理」、「健康管理コミュニティ」の3つの視点から紹介していく。

嗜好から“いい食事”“悪い食事”を判断

 食事管理といったとき、まず何を連想するだろうか。「言うは易し行うは難し」を実感するダイエットに代表される「減量」だろうか。それとも、生活習慣病対策による「食事制限」だろうか。これらに共通しているのは、カロリー計算を軸にしているという点である。米国では最近、食事管理の王道がカロリー計算から、提案型の食事管理に進化してきている。

 米ジョージア州アトランタに拠点を置くUsable Healthは、利用者の健康状態や食事の嗜好にあったメニュー提案アプリを提供する。これは、レストランや学校のカフェテリアで提供されるメニューの中から、利用者の健康状態に合わせて、もっとも体にいい食事を提案するサービスだ。

 利用者が同社のサービスを利用するにはまず、自分の身長、体重、血圧や家族の病歴、好きな食べ物、日常的な運動レベルなどを入力する。同社のアプリはこれに基づき、利用者の健康上のリスクファクターを特定する。これには同社独自のアルゴリズムを使っており、例えば「日常の運動量に比べて体脂肪が多く、この傾向は食事の嗜好を勘案すると、さらに悪化する可能性が高い」といった風に利用者の入力情報を包括的に考慮するものになっている。

 この結果、例えば利用者がマクドナルドに来て、携帯から同社のサービスにログインしてマクドナルドを選択すると、利用者の健康状態に照らし、その人に必要な栄養分がどれくらい含まれているかを100点満点で点数化したメニューセットを提案してくれる。このことから当然、高齢で貧血の気がある60代後半の人と、30代半ばで糖尿病のリスクが高い人の間では、同じメニューでもでスコアがまったく違うものになってくる。

 また、すでにビッグマックを食べようと心に決めている人がこれを入力すると、「ビッグマックを注文する代わりに、ハンバーガーとフライドポテトのSを注文すれば、繊維質が166%も多く採れる」と代替メニューも提案してくれる。

 このサービスは、同社と提携してメニューデータベースを提供する全米15のファストフードやレストランチェーン、大学や企業のカフェテリアなどで使える。その上、自炊にも対応する。自分で作って食べたい料理名を入力すれば(例えば照り焼きチキンやピザなど)、標準的な材料と調理方法が、米農務省の食品データベースに照らした栄養成分情報とともに提示される。このサービスを使うたびに、利用者の食の嗜好に関するデータが蓄積されることから、利用者の好みをより的確に反映したメニュー提案ができる仕組みだ。

 一部のレストランではすでに、同社のソフトウエアとPOSを連動させ、利用者が同社アプリの提案したメニューを実際に購入したかどうかをトラッキングできるような仕組みを導入し、この結果を個人が記録できるようにするサービスも試行している。このサービスは現時点では試験段階であるため、ジョージア州内で同社とライセンス契約を結んだレストランや大学のカフェテリアの利用者のみが無料で使うことができる。同社によれば、近く全米展開を予定しているという。