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 電子書籍が今後さらに普及するためには、どのようなことが必要なのでしょうか。郊外に書店が少ないと言われている“電子書籍先進国”の米国とは違う日本──。普及のためのポイントを考察します。

100万冊の電子化が目標リアル書店との連携も始まる

 まず挙げられるのが、電子書籍の出版点数を増やすことでしょう。現在、各ストアの販売点数を見ると20万程度が最大。多くの人が購入する小説や新書などのジャンルでは数万点ほどです。新宿や神田にある大規模な書店よりもまだまだ少ないのが現状なのです。在庫に縛られることがない電子書籍のメリットを考えると、もっと多くの品ぞろえがあってもいいはずです。絶版本も含め、たくさんの書籍がデジタルで買えるようにならなければ、利用者の獲得は難しいでしょう。

 現在、複数の出版社や印刷会社などが参加している「出版デジタル機構」が、100万冊のデジタル化を目指して活動しています。多くの書籍には著作権などの権利処理が必要ですが、こうした問題を乗り越え、電子書籍の出版点数を増やせるかが第一のカギになります。

 利用者の拡大という点で、デジタル機器の扱いに不慣れな人の取り込みも重要。特に中高年層は、「電子書籍はハードルが高い」と感じている方が少なくありません。そのため、専用端末ではタッチ操作だけでなく、ページをめくるためのボタンを用意するなど、わかりやすさを前面に出した製品が増えています。

 さらに電子書籍ストアの一部は、街中の書店との連携に乗り出しています。紙の本に愛着があり、書店に足を運ぶことに慣れている中高年層と電子書籍の“接点”を、書店に求めているのです。例えば三省堂では、電子書籍が書店で買えるなどのサービスを実施。丸善では、店頭のPOPで電子書籍版もあることがひと目でわかるように工夫しています。

 利用者の拡大には、購入後に使うアプリなどの操作性を向上させることも必要です。各ストアが自社のアプリの使い勝手を改善するのはもちろんですが、利用者側に立つと、ストアが複数あることに戸惑っているケースもあるようです。

 例えば、現在はストアごとに本棚が別々です。理想は、一つのアプリで複数のストアを検索し、同じ手順で購入して、複数のストアで購入した電子書籍を一つの本棚で管理できることでしょう。書店で購入した紙の書籍も併せて管理できれば万全です。

本との出会いを増やして出版市場を盛り上げる

 電子書籍はこれまで、紙の本や書店の売上を目減りさせてしまう存在として煙たがられることがありました。しかし、前述した書店との連携が進む背景には、出版市場そのものが縮小していることに対する危機感が見て取れます。「電子書籍が普及して、消費者が本を購入する機会が増えれば、紙も電子も含めた出版市場が活性化できると思う」(「ホント」の担当者)との声もある通り、電子書籍は読書離れを食い止める役割も担っているのかもしれません。