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 PC Onlineや「日経パソコン」「日経PC21」誌の、パソコン/スマホ/タブレット記事でおなじみの青木恵美が、スペシャルにお送りする、ディープなAndroidメルマガ。毎回、有用な「イチオシ」アプリを取り上げ、多数の画面イメージとともに操作のキモを手取り足取り徹底解説。イチオシアプリの理解をさらに深めるための「こぼれ話」や、明日にでも人に話したい「Androidよもやま話」も併せて掲載していく。

 この号では、聞き覚えがあったり、初めて聞いたりする曲のタイトルやアーティストをハミングの自動認識で知ることができるユニークなアプリを紹介したい。ピンと来た音楽について詳しく調べて、さらに楽しむためのツールとして便利だ。

今週の目次

※スマホの動作確認/キャプチャー端末「Nexus 5」(Android 4.4)。
※「Nexus 5」は、「AVG AntiVirus Free」にて動作確認しています。

はじめに~ラジオやテレビ、街で流れる曲名を知りたい

 音楽は生活の潤いになる。お気に入りの音楽をどんどんスマホに入れて、いつでもどこでもヘッドホンなどで楽しむ人は多いだろう。

 スマホに入れて聴くお気に入りの音楽も、元をたどれば、どこかで聴いて曲名・アーティスト名を知り、好きになって、CDを入手したりライブに足を運んだり、という経緯があるはずだ。音楽好きの人なら、いつも自分の好きな音楽に加えて、「自分に合ったさらに素敵な音楽がないだろうか」と、目(耳?)を光らせていることと思う。ラジオで耳にして「いいな」と思ったなら、耳をそばだてて、曲名やアーティスト名がアナウンスされるのをチェックする。テレビならテロップを確認するだろう。カフェなどで流れている曲なら、そもそも何の情報もなく歯がゆい。

 ただし、こうした情報はほんの一瞬しか流れないため、聴き逃し・見逃しやすい。口ずさめるぐらい覚えているのに、曲名やアーティスト名が分からない、という状態に陥ることもある。

【今週のイチオシアプリ】「SoundHound ∞」(500円、開発元:SoundHound)

 そんな時に重宝するのが、「音楽認識」系のアプリだ。スマホのマイクに音楽を“聴かせる”と、音声のパターンを自動解析して曲名やアーティスト名などの情報を表示してくれる。

 この種のアプリはいくつかある。筆者は以前「Shazam」というアプリ(今週のこぼれ話参照)を使っていた。こちらは市販のCDや音楽配信などの音源(きちんとレコーディングされた音源)を認識するのには有効なのだが、鼻歌・ハミングで歌ってみても、うまく認識してくれない。

 実生活では、そうそうタイミング良く知りたい曲が流れてくるわけでもないので、「気になる曲を耳にして、すぐにアプリを立ち上げて、認識させる」事態にはなかなかならない。メロディーを自分で覚えておいて、マイクに向かって鼻歌を吹き込んで情報検索できれば便利だ。

鼻歌に強い「音楽認識」アプリ。もちろん流れている曲も一発で認識…

 そこで今回紹介したいのが「SoundHound ∞」というアプリ。このアプリは、鼻歌(歌詞なし、メロディだけのハミングでOK)の認識精度が高い。厳密な比較は難しいが、市販の曲についてもShazamよりもよく認識してくれる。

 筆者はあまり歌がうまくない。スマホに向かって声を張り上げて歌うのも恥ずかしい。そのためボソボソ加減でスマホに歌いかけるが、そんな歌声でも、アプリは正しい情報を返してくれる。候補を挙げてくれるだが、たいてい1曲目が「ああそれ」という感じで合致する。

 もちろん市販の曲なら鼻歌より認識精度が高い。海外製アプリだが、洋楽だけでなく邦楽もおおむね認識してくれるように感じる。

 SoundHoundには無料版もあるが、有料版だけの機能として、ホーム画面に置けるウィジェットが便利。広告も非表示になる。500円が少々高いと思うなら、無料版で認識精度をよくチェックしてから購入してもいいだろう。

 アプリの説明にはこうある。

・超高速の音楽認識
・世界で唯一の、高精度な歌とハミングによる検索
・LiveLyrics: 曲に合わせて歌詞が推移します
・SoundHoundトップページ: 楽曲のストリーミングや、新しいアーティスト情報等を、無料でお届けします
・お気に入りのアーティストの、Facebook及びTwitterのリアルタイム更新
・FacebookやTwitterでの共有、アプリ立ち上げと同時に開始する音楽検索、位置情報タグ
・リンクやYouTube ビデオ、アーティストバイオグラフィー等を購入しよう

 というわけで、認識精度と豊富な機能が特徴の「SoundHound ∞」をインストールして使ってみよう。

SoundHound ∞を使ってみよう

 Google Playストアからインストール。起動すると、大きなオレンジ色のボタンが現れる。

図1 トップ画面の大きなボタンが特徴だ。
図1 トップ画面の大きなボタンが特徴だ。
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鼻歌で音楽認識

 オレンジ色のボタンをタップして、知りたい曲を鼻歌で歌って聴かせる。歌うのは最初からでなくても、どこのフレーズからでもOKだ。終わったらボタンを再度タップする。BGMのない状態で歌うのがコツで、10秒以上長めに歌うと認識精度が上がるようだ。

 この場合、米国の女性アーティスト「P!nk」の「Raise Your Glass」の一部をハミングしてみた。その後、音声解析が行われて候補が表示される。適合度が高い順に表示される候補の中から、それらしきものを選んでタップしよう。

図2 認識中の画面。歌い終わったらボタンをタップ。
図2 認識中の画面。歌い終わったらボタンをタップ。
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図3 候補の中から曲を選択。
図3 候補の中から曲を選択。
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 すると曲情報画面が開く。「プレイ」ボタンをタップすると音楽が流れるので、正しいかどうか耳で確認できる。「購入」のタップで、「Amazon MP3ストア」にジャンプできる。とはいえ、Amazon MP3ではオリジナルのアーティストの曲のほか、カバーやカラオケなども多いので、購入時は注意が必要だ。

図4 曲情報が見つかった。プレイボタンで音楽を聴いて確認できる。
図4 曲情報が見つかった。プレイボタンで音楽を聴いて確認できる。
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 検索履歴は自動保存されるが、必要に応じて、右上の☆マークをタップしてお気に入りに登録しておこう。共有ボタンからFacebookやTwitterなどで共有もできる。「YouTubeで探す」では、認識された音楽情報で検索したYouTube動画の一覧が表示される。

図5 「YouTubeで探す」画面。
図5 「YouTubeで探す」画面。
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図6 共有ボタンからFacebookやTwitterでの共有もすぐできる。
図6 共有ボタンからFacebookやTwitterでの共有もすぐできる。
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 他にも、「ツアー日」でアーティストのツアー情報を調べたり、「類似アーティスト」「歌の収録アルバム」などの情報を検索したりすることもできる。アルバム情報では、アルバム全曲を試聴でき、Amazon MP3ストアでの購入も可能だ。

流れてくる音楽を認識

 ラジオや有線放送などで流れてくる音楽にスマホを近づけ、オレンジ色のボタンをタップしてみよう。

 鼻歌よりも認識精度が高いので、たいてい候補表示を飛び越してすぐに曲情報画面が開く。しかも流れる曲を認識させた状態にしておくと、「歌詞」部分に歌詞が表示され、曲に合わせてスクロールしていくのが面白い。特に洋楽好きにとって、外国語の歌詞聞き取りは難しいので、歌詞の内容が視覚的に分かるのはありがたい。

図7 認識して情報が表示されてからもそのままにしておくと、「歌詞」部分に歌詞が表示され、曲に合わせてスクロールしていく。
図7 認識して情報が表示されてからもそのままにしておくと、「歌詞」部分に歌詞が表示され、曲に合わせてスクロールしていく。
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 一例として、筆者のお気に入りであるジャスティン・ティンバーレイクのYouTubeのこの曲をパソコンなどで流しつつ、スマホに聴かせてみよう。歌詞が曲に合わせてスクロールしていくのが分かるだろう。

 なお、スマホのスピーカーで流れる曲を認識させる手もある。ネットラジオ(radiko.jpなど)のアプリで流れている曲を認識したい場合は、曲が流れている間にすばやくアプリを起動してオレンジ色のボタンをタップしよう。

SoundHoundトップページ

 SoundHoundトップページのオレンジ色のボタンの下の「新曲ストリーム」のプレイボタンをタップすると、新曲(おすすめ曲)が表示される。右にスワイプすると、さまざまなチャートや、最もシェアされた曲、最も人気のある曲が表示される。チャート以外では、曲をまるごと聴ける。

 画面下部に3つ並ぶアイコンのうち、一番下の人のアイコンをタップすると、自分の検索履歴が表示される。グラフのアイコンで先述のチャート、地球のアイコンで検索した場所を表す地図が表示される。

図8 トップページ下では、さまざまな情報を表示したり、新曲などを聴くことができる。
図8 トップページ下では、さまざまな情報を表示したり、新曲などを聴くことができる。
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図9 「検索履歴」画面。
図9 「検索履歴」画面。
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図10 「チャート」画面。
図10 「チャート」画面。
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図11 「世界地図」画面。
図11 「世界地図」画面。
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設定とヘルプ

 メニューボタンのメニューから「ヘルプ」を選ぶと、ヘルプが表示されるので、参考にしよう。「設定」からは、シェアを行うFacebookやTwitterの設定、それらの自動シェア、履歴の消去、位置情報のオン/オフなどが行える。

図12 「ヘルプ」画面。
図12 「ヘルプ」画面。
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図13 「設定」画面。
図13 「設定」画面。
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ウィジェット

 ホーム画面を長押し(Android 4.xの場合)するなどして、「SoundHound ∞」のウィジェットを設置できる。すぐにボタンを押して音楽認識を行える4×1サイズがお薦めだ。オレンジのボタンを押して、音楽認識を実行。結果は右に表示される。タップでアプリが開き、曲情報画面が表示される。

図14 ウィジェットを設置する。
図14 ウィジェットを設置する。
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図15 ウィジェットのオレンジ色のボタンを押して、音楽を聴かせよう。
図15 ウィジェットのオレンジ色のボタンを押して、音楽を聴かせよう。
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図16 聴き取り中のウィジェット。
図16 聴き取り中のウィジェット。
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図17 認識が行われた。情報のタップでアプリが開いて曲情報画面が表示される。
図17 認識が行われた。情報のタップでアプリが開いて曲情報画面が表示される。
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 SoundHound ∞の使い方は、こんな感じだ。

音楽生活を豊かに

 鼻歌から音楽を認識したり、流れる音楽にスマホを近づけたりするだけで曲名やアーティスト名が分かるとは、便利な世の中になったものだと思う。音楽好きにとって、新しい世界が開けるアプリだ。自動認識は思わず他の人に自慢したくなるような楽しさもある。

 有料版のみの機能であるウィジェットは、いざ音楽が流れてきた時に、すぐに使えるので便利だ。その価値を感じるなら、500円で有料版を購入してもいいのではないだろうか。

 この情報があなたのスマホ生活をさらに楽しくできれば、筆者はうれしい。

【今週のこぼれ話】市販曲の認識なら「Shazam」も有用

 鼻歌ではなく、きちんとレコーディングされた市販曲の音楽認識には、先述の「Shazam」を使うのも手だ。こちらも同様に広告非表示の有料版と無料版があるので、無料版から試してみよう。

図18 「Shazam」は情報表示画面もシンプル。
図18 「Shazam」は情報表示画面もシンプル。
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 Shazamはシンプルで情報が見やすい。ただし、プロフィール情報が英語だったり、ディスコグラフィーが名前だけだったり、シンプルすぎてイマイチな点はある。鼻歌では「生の歌声や鼻歌は認識できません」と、認識を断られてしまう。こうした点を踏まえながら使ってみるのもいいだろう。

【青木恵美のAndroidよもやま話】日経新聞のスマホ連動AR(拡張現実)が面白い!

 この正月、日経新聞で行われたAR(拡張現実)企画がなかなか面白かった。専用のアプリを入れて、マーカーの付いた新聞紙面上の写真をスマホのカメラで映すだけで、ディスプレイに映った写真が動画として動き出すのだ。

 紙媒体は動かないというのが大前提。それが動くというのは、驚きがあった。そのあたりはPC Onlineの記事にも書いたので、興味のある人は読んでみてほしい。

あとがき

 日経新聞の話題が出たついでに、筆者の連載「電子版上達への道」のお正月の第1弾が、iPadの話題でした。主人公の「博」がiPadで新聞紙面を見るというストーリーです。iPadではやはり新聞紙面がとても見やすく、直感的に操作できるインタフェースが光っていると改めて感じます。
 博はこれから、ガラケーでの電子版を経て、「一大決心」をしてAndroidスマホを導入します。博がAndroidと格闘するさまは、回を重ねてしっかり描いていく予定ですので、こちらもお楽しみに。(青木恵美)

 青木さんによれば、主人公の博のモデルは、ジャニーズ系タレントグループV6のメンバー・長野博さんのようです。それと鼻歌で連想したのが、年末のNHK紅白歌合戦。終盤にSMAPが歌う時に、誰かが音程を外さないかどうかをハラハラドキドキしながら聴くのが年末恒例のひそやかな楽しみです。今回の紅白では、歌がうまくないメンバーのソロパートが少なくてハラハラ感に欠け、それはそれで少し残念でした。(担当・清嶋直樹)

著者プロフィール

青木 恵美(あおき えみ)

青木 恵美(あおき えみ)●長野県松本市生まれ。大学卒業後、書籍編集の仕事に就く。独学で始めたDTP(パソコンによる机上出版)がきっかけでパソコン本の執筆を始め、執筆書籍は『Windows手取り足取りトラブル解決』『ホームページの作成と公開』『自分流ブログ入門』(技術評論社)、『YouTube徹底入門』『インターネット&メールスパテク404』(翔泳社)など20冊あまり。最近はPC Onlineをはじめ、日経パソコン誌の特集や連載講座を執筆している。趣味は料理、写真、モバイル、モータースポーツ観戦、洋楽アーティストのライブ鑑賞など。PC Onlineでの連載は「信州ITラプソディ(毎週火曜更新)」「もっと便利に使うためのお役立ちユーティリティソフト(毎週木曜更新)」「もっと便利に使うためのお役立ちiPhone/Androidアプリ(隔週金曜更新)」の3本。「3度の飯よりモバイル機器」な経歴を生かし、ディープな有料メルマガ「PC Online Plus」Androidアプリ版の執筆も。最近は日本経済新聞夕刊の隔週木曜日に、小説仕立て(!)の日経電子版入門「電子版 上達への道」を連載中。