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 ソニーは2008年7月16日、携帯ノートPCの新モデル「VAIO type Z」を発表した。Intelが同日正式発表したノートPCの新プラットフォーム「Centrino 2」を利用した製品で、ラインアップ上は現行の携帯ノート「VAIO type S」の上位モデルになる。直販価格は19万9800円からだ。

 最大1600×900ドットという高解像度の13.1型液晶や記録型Blu-ray Discドライブを搭載可能ながら、厚さ24.5~33mm、重さは1.35~1.45kg。重量バランスの巧みさなのか、手に持つと数値以上に薄く、軽く感じられる。type Zはソニーの「気合い」を随所に感じる仕上がりになっているのだが、直販サイトで選べる構成には、ひときわ目を引くポイントがある。何と、64GBのSSD(Solid State Drive)を2台内蔵してRAID0構成にできるのだ。

 RAID0は2台以上のドライブにデータを分散して記録することで、読み書き性能を引き上げる技術だ。一般に、SSDは書き込みは遅いが、読み出しは速い。最近の高速タイプのSSDの中には、ノートPC用の2.5インチHDDだけでなくデスクトップPC用の3.5インチHDDを超える読み出し性能を持つ製品もある。VAIO type ZのSSD RAIDモデルは、いったいどれだけ速いのか、主要なHDDやSSDと比べてみた。

 テストに使用したVAIO type Zの構成は以下の通りだ。

  • 【CPU】Core 2 Duo T9600(2.8GHz)
  • 【チップセット】Intel GM45(グラフィックス内蔵)
  • 【メモリー】DDR3-1066 2GB×2
  • 【ストレージ】SSD 64GB×2(RAID0構成、計128GB)
  • 【光学式ドライブ】DVDスーパーマルチ
  • 【グラフィックス】GeForce 9300M GS(256MB)
  • 【液晶ディスプレイ】13.1型ワイド、1600×900ドット
  • 【OS】Windows Vista Ultimate Service Pack 1 32ビット日本語版

 VAIO type Zの試用機に使われていたSSDはSamsung Electronics製の「MCBQE64GFMPP-MVA」。基板を2枚重ねて実装している。Intel製のRAIDユーティリティー「Matrix Storage Console」で確認したところ、RAID0のストライプサイズは128KBになっていた。

 比較用に用意したデバイスは以下の通り。行頭のかっこ内はテスト結果を示したグラフでの表記だ。

  • 【SSD64GB】FS-25S2-64GB (G.SKILL International Enterprise、64GB)
  • 【SSD60GB】MasterDrive MX SATA-II 25(Super Talent Technology、60GB、FTM60GK25H)
  • 【SSD32GB】TS32GSSD25S-M(Transcend、32GB)
  • 【2.5インチHDD】WD Scorpio Blue(Western Digital、5400回転/分、320GB、WD3200BEVT)
  • 【3.5インチHDD 1TB】WD Caviar Black(Western Digital、7200回転/分、1TB、WD1001FALS)
  • 【3.5インチHDD 500GB】Deskstar P7K500(日立グローバルストレージテクノロジーズ、7200回転/分、500GB、HDP725050GLA360)
  • 【3.5インチHDD 1万回転】WD VelociRaptor(Western Digital、1万回転/分、300GB、WD3000GLFS)

 SSDは手を出しやすい安価な製品から、性能の高さを売りにする高価な製品までを調べた。FS-25S2-64GBは順次読み出し100MB/秒、順次書き込み80MB/秒をうたう2.5インチHDD互換のSSD。いかにも速そうだが、実勢価格も12万円弱とノートPCが1台軽く買えるくらい高い。MasterDrive MX SATA-II 25(FTM60GK25H)も2.5インチHDD互換のSSD。仕様表によれば順次読み出し120MB/秒、順次書き込み80MB/秒という性能だ。60GBという容量の割には実勢価格が4万円台半ばからと比較的安い。TS32GSSD25S-Mは32GBのSSD。同社のラインアップの中では読み書き性能が低い下位モデル。その分、2万円台半ばと安価だ。

 2.5インチHDDのWD Scorpio Blueは、5400回転/分の製品。パーツショップでは1万円程度で販売されている。3.5インチHDDのWD Caviar Blackは、Western Digitalが2008年6月に発表したばかりのHDDで、性能の高さが売りだ。Deskstar P7K500は売れ筋の500GBモデルとしてテストに加えた。通常でも7000円以下、週末の特価品では6000円以下で売られている。WD VelociRaptorは、1万回転/分という、ATAタイプのHDDではほかにない回転数の高速HDD。300GBで3万円前後と割高にもかかわらず、性能重視のユーザーに人気がある。

 SSD、HDDの各製品はIntel P35チップセットを搭載したマザーボードに、Core 2 Duo E6850(3GHz)というデスクトップPC向けCPUを組み合わせてテストしている。メモリーはDDR2-800 1GB×2、OSはWindows Vista Ultimateだ。HDDの読み書きだけのテストに対するCPU性能の影響は小さいものの、VAIO type Zと完全に同一の条件にはなっていない点に注意してほしい。また、ここで取り上げた2.5インチHDD(WD3200BEVT)は、最近の比較的安価なモデルとして取り上げただけであり、VAIO type ZのHDDモデルがWD3200BEVTを搭載しているわけではない。あくまでも参考としてとらえてほしい。

ノートPCとしてはずば抜けて高いアクセス性能

 ドライブの性能はSiSoftwareのベンチマークソフト「Sandra XII.2008.SP2c」の「File Systems」で調べた。グラフ1は読み出し性能を比較したものだ。2.5インチHDDは順次読み出しが62MB/秒、ランダム読み出しが44MB/秒。回転数が低く、ディスク径が小さいため、3.5インチHDDに比べて2.5インチHDDは遅くなる。順次よりランダムが遅いのは、ヘッドの移動とディスクの回転待ち時間が発生するHDDの特性だ。

 対してSSDは、可動部が一切無いため機構上は順次とランダムに差が付きにくい。読み書き速度は使っているフラッシュメモリーとコントローラーの性能が影響するが、今回テストしたSSDは、いずれも順次なら最新3.5インチHDD並みの読み出し速度で、ランダムは圧倒的に速い。

 さらにVAIO type ZのRAID構成は、順次もランダムも160MB/秒以上と飛び抜けている。デスクトップPCでも、3.5インチHDDを2台使ってRAID0を構成すれば順次は同程度の性能が得られるものの、ランダムでは難しい。VAIO type ZのRAID構成は、ノートPCのストレージとしては、他を圧倒する読み出し性能と言ってよい。

 ただ、書き込みは2.5インチHDDに対するアドバンテージが小さくなる(グラフ2)。2.5インチHDDが順次で62MB/秒、ランダムで48MB/秒なのに対し、VAIO type Zが88MB/秒、75MB/秒だ。もっとも、現在のSSDは書き込み性能が低い製品が多いようだ。今回取り上げた中でも、SSD60GBとSSD32GBの書き込み性能は非常に低い。そうした意味では、VAIO type ZのRAID構成はSSDのデメリットをうまく打ち消し、少し前の3.5インチHDD並みの書き込み性能が実現できていると言える。

 今どきのノートPCとしては容量がやや少ないものの、読み出し性能の高さはとても魅力だ。RAID0は仕組み上、どちらか1つのドライブが壊れてしまうと全データが読み出せなくなるが、HDDに比べて衝撃に強いSSDなら(少なくとも短期的には)その危険性も低そうだ。

 ただ、さすがにこの構成だと安くはない。今回試用したVAIO type Zは、なんと48万6800円にもなる。もっとも試用機は、CPUが最高クラスだし、メモリーも割高なDDR3を4GBも搭載している。SSDをRAIDにしたままで、Core 2 Duo P8400(2.26GHz)、メモリー1GB、1388×768ドット液晶、Windows Vista Home Premiumといった構成にすると38万4800円にはなる。なお、SSDを選択するとBlu-ray Discドライブは搭載できない。

  • SSDの記事を一気読み>>『SSDバトルロイヤル』

  • ●ベンチマークテストの概要
    ■Sandra XII.2008
     SiSoftwareが開発しているPC情報表示とベンチマークテストのソフトウエア。アプリケーションの総合的な実行性能ではなく、CPUやメモリー、ドライブ、ネットワークなどコンポーネント単位の性能を調べるのに適している。ドライブ性能を調べる「File Systems」では、順次(シーケンシャル)とランダムの読み出しや書き込み性能が調べられる。このテストはCPUやメモリー性能はあまり影響しない。