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 政府の知的財産戦略本部は2008年10月29日、「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の第9回会合を開催した。この日の会合では、いわゆる日本版フェアユース規定の導入などを盛り込んだ報告書案について議論し、大筋で了承された。報告書案は近く公表し、パブリックコメントの募集を経て11~12月にも正式決定。2009年以降の著作権法改正を目指す。

 現行の著作権法では、著作権の権利が及ばない「制限規定」について、個々のケースを条文に書き込んでいく「個別列挙方式」を採っている。これについて報告書案では、「著作権法の枠組みが社会の著作物の利用実態やニーズと離れたものになる懸念がある」とする。例えば、新規分野の技術開発や事業活動をしようとしても、著作権侵害とみなされるリスクを考えて萎縮してしまう可能性がある。また、ネット上の写真・動画への写り込み、Webページの印刷など、社会通念上問題ないと思われる行為が、現行の著作権法上は形式的に違法となってしまう可能性がある。

 こうした問題を解決するため、個別列挙方式と並列して「一般規定(日本版フェアユース)を導入するのが適当」としている。個別列挙方式で挙げられていない二次利用の方法でも、「権利者の利益を不当に害しないと認められる一定の範囲内での公正な利用」であれば問題ないとする考え方だ。フェアユースとして認められる範囲については、実際に制度の運用を始めた後に、権利者とコンテンツ事業者などとの間で起こる訴訟などを基に、判例を積み重ねることで決めていく。

 ただし、フェアユース規定を先行して盛り込んでいる米国と異なり、日本では(1)訴訟などのリスクを内包した制度ではあまり活用されないのではないか、(2)日本版フェアユースを導入すれば経済効果が期待できるなどと過大に考えられていないか、(3)日本版フェアユースの導入により違法行為が増え、訴訟コストをはじめ権利者の負担が増えるおそれはないか、(4)法体系全体との関係や諸外国の制度との間でバランスを欠くことはないか――といった懸念がある。報告書案では、これらの点に注意しながら実際の規定を検討していく必要があるとしている。