マイクロソフト主催のハードウエア開発者向けイベントである「WinHEC 2008」が米カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されている。その2日目に、Windows 7とミニノート(Netbook)に関するセッションがあった。そこでの話によると、Windows 7は16GBの記憶容量で動作し、そのうち半分程度の容量はユーザーがアプリケーションなどをインストールするために利用できるという。安価で記憶容量の少ないSSD(solid state drive)を使ったミニノートでもWindows 7のインストールできることになる。会場では、台湾ASUSTeK ComputerのEee PC(16GBのSSDを搭載)に、WinHECで来場者に配布したものと同じプレベータ版のWindows 7をインストールし、実際に利用可能であることを展示していた。
現在のWindows Vistaは、必要な記憶領域が20GB以上となっており、安価な8~16GB程度のSSDでは利用するできなかった。Windows 7に関しては、「スリム化」を実現するという話が事前に伝わっていたが、動作に最低限必要となる記憶容量はVistaよりも少なくなることがはっきりした。
Vistaが開発されていたときは、ミニノートが存在しなかったため、記憶容量の少ないシステムでも動作することはまったく考慮されていなかった。しかし、インテルのAtomプロセッサーの登場で、各社がミニノート市場に参入。現在、市場で大きなカテゴリーを形成しつつある。
ミニノートが安価な理由の一つに、低容量のSSDを採用していることがある。SSDを採用することで、ハードディスクを使うよりも安価にパソコンを作ることができるようになるのだ。
SSDは、基盤やコントローラにかかるコストが非常に小さいため、搭載するフラッシュメモリー・チップの容量や個数で価格がほぼ決まる。容量を少なくすれば、ハードディスクよりも安価に作ることができる。一方でハードディスクは、プラッター(ディスク)や制御ボード、きょう体などで構成する。これらのうち記憶容量を決めるのはプラッター部分なのだが、それ以外の部分は記憶容量の多寡にかかわらず一定のコストが必要になる。それ以下にはコストを下げられない。
Windows 7の動作に最低限必要となる記憶容量が変更されたのは、こうした動きに対応するものだ。もちろん、より多くの記憶容量を必要とするVistaではミニノートに対応できず、Windows XPの出荷を継続しなければならないという事情への対策という面もあるだろう。
Windows 7では、SSDとハードディスクを区別して扱う。SSDに必要な機能を実行したり、ハードディスクには必要でもSSDでは問題のある処理などを禁止するためだ。例えば、Windows Vistaでは、ファイルを連続したクラスタに配置するデフラグ処理が定期的に実行される。しかし、SSDではデフラグ処理を行うと不要な読み書きを増やし、フラッシュメモリーの寿命を縮めてしまうなどの問題がある。また、SSDでは、内部のコントローラが各フラッシュデバイスの読み書き回数が平均化されるように処理しているのだが、それには利用しているセクタとそうでないセクタを区別する必要がある。これはドライブ側では判定できないため、Windows 7ではファイルが削除されたことをSSD側に伝達する機能が用意されるという。