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 著作権法制の見直しに関する問題を議論する民間組織の「ネットワーク流通と著作権制度協議会」が、2008年11月21日に発足した。

 同協議会は、デジタルコンテンツの流通促進施策や日本版フェアユース規定などについて政策提言を行っていくことを目指す組織。2011年3月までの期間限定の協議会として運営し、弁護士やクリエイター、権利者団体を中心に約100人の個人会員で組織する。同日開かれた設立総会で、新潟大学名誉教授で弁護士の齊藤博氏が会長に、弁護士の松田政行氏が会長代行に就任した。両氏のほか、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の岸博幸氏ら7人が理事を務める。

 同協議会では、デジタルコンテンツの流通促進に関する分科会と、権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)に関する分科会を設置。それぞれについて、文化審議会や知的財産戦略本部での議論と並行して、課題の洗い出しや、より多くの関係者が合意できる施策の立案などを行っていく。

 この日の会合では、この2つの問題について理事を中心とした討論を実施。デジタルコンテンツの流通促進をめぐっては、岸氏が「今後、欧米諸国は覇権主義的な考え方でコンテンツビジネスを成長産業にしようとするだろう。デジタルコンテンツをめぐる世界レベルの覇権争いが始まる中、日本の国益を考えたときに果たしてコンテンツ流通促進が一番重要なのか。デジタル・コンテンツ法やネット法といった既存の政策提言とは異なる、第三のアプローチがあるのでは」と指摘した。

 日本版フェアユース規定については、「最小限の一般条項ではなく、比較的オープンな一般条項を作ろうとしている。著作権の権利制限を例外部分としていた従来の位置付けをひっくり返す可能性があり、慎重に議論すべき」(理事で弁護士の龍村全氏)、「米国で行われるようなフェアユース規定をめぐる大裁判を日本でもできるのか、権利制限がセーフ/アウトの二択になり補償金など中間的な解決策を採りにくくなるのではないか、フェアユースと到底思えない事例を『これはフェアユースだ』と強行する人が現れた場合、裁判をしない限りそれを止められなくなってしまうのではないか、など、新たな弊害が現れる可能性がある。そうした弊害について十分に議論した上で導入すべき」(理事で弁護士の伊藤真氏)、「一般条項を導入する場合、法の基にある社会の思想や傾向がどうなっているのかが重要。しかし著作権法については、国民が一致した認識を持っていないのが現状だ。利用形態の違いによって、権利制限に対する考え方が変わるためだろう。そうした根本的な議論をしておかないと、後で困ることになる」(理事で弁護士の富岡英次氏)など、慎重な意見が相次いだ。