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 「年末商戦にはかなり期待していたが、思ったほど販売が進まないのではと懸念している。とりわけ家電や携帯など、生活に密着した製品は景気動向に敏感に反応している。モノを買うのが悪い、動かないことがよいというような雰囲気になってきてしまっている――」。電子情報技術産業協会(JEITA)会長の庄山悦彦氏(日立製作所会長)は2008年12月19日、年末商戦の現状についてこう語り、厳しい状況にあるとの認識を示した。この日開催された定例会見の中で、記者団の質問に答えた。

 この日の会見では、JEITAがまとめた2008年の「電子情報産業の世界生産見通し」について発表。2008年の世界生産額は対前年比横ばいの237兆円を見込み、期初予想(対前年度比7%増の243兆円)から7ポイント下方修正した。うち日系企業の生産額は、期初予想では対前年度比6%増の52兆円としていたが、同3%減の50兆円へ9ポイント下方修正し、マイナス成長になるとした。「原材料の高騰や米住宅バブルが引き金になった金融危機、世界同時株安、原油価格の乱高下など不安要素が例年になく多かった。北京五輪商戦での購買機運も、期待していたほどには盛り上がらなかった。手堅い伸長を予想していた新興国の需要も、後半の経済危機で伸び悩んだ」(庄山氏)とする。

 このところの円高傾向は、北米や欧州への輸出が大きな収入源となっている電機メーカーを直撃している。「内需を考えれば結構なことだと思うが、日本は輸出依存の中で、急激な円高はインパクトが大きいと思っている。多くの会社は、2008年度の分は為替予約を入れたりしているだろうが、円高傾向が続くと国際競争力の面ではかなり厳しいだろう。円の対米ドル相場が1円動けば1000億円くらい、かなりのインパクトがある」と厳しい状況を語る。

 加えて、原油や金属といった素材価格の下落も、手放しで喜べる状況ではないとする。「確かに石油や銅などは乱高下している。しかし、一般にメーカーは前もって一定量を予約しているため、急に価格が下がってもフォローできない分がある。これが製造コストを圧迫している。将来的には消費者への還元ができるだろうが、急に値下げするのは一般論として難しい」。

 非正規社員の削減など雇用問題については、慎重な対応が必要との姿勢を示した。「国際競争力で負けたのでは仕事にならないが、だからといって円高を利用して製造拠点を海外へ移転したりすれば、現在の雇用の問題に輪をかけてしまう。雇用の多様化が進んでいる中、どんどん人を減らして、という簡単なものではないし、派遣だから簡単に削減して良いということにはならない。納得性がないとうまくいかない」とした。その上で、「ものづくりは一気に立ち上がるものではない。仕事がない場合は勤務体系や勤務時間を変えるなどして、みんなで工夫することが必要ではないか」として、人員削減によらない人件費抑制策を検討すべきとした。