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 著作権団体17法人で組織する「著作権問題を考える創作者団体協議会」は2009年1月23日、権利者情報を提供するWebサイトを開設した。同サイトでは協議会の活動内容や提言のほか、権利者の所属団体を検索するデータベースを公開する。ただし、権利者データベースの機能や規模は、2007年8月に表明していた当初構想より大幅に縮小したものとなった。

 同協議会は、音楽や映画、文芸、美術、写真など複数の分野の権利者団体が共同で、権利者側の立場から著作権にまつわる政策提言を行う組織。政策提言の一環として、著作権の保護期間を現行の没後50年から没後70年に延長することを主張している。保護期間延長に伴う利用者の利便性低下を防ぐため、権利者情報のデータベースを開設する意向を2007年8月に表明、準備を進めていた。

 今回運用を始めたデータベースは、権利者の氏名を検索キーとして入力し、その権利者の所属団体を調べるもの。ユーザーが任意のコンテンツを二次利用したい場合、そのコンテンツの作者が所属する団体とその連絡先を確認でき、所属団体に対し二次利用に関する問い合わせをすることができる。データベースに収録されているのは、日本音楽著作権協会(JASRAC)に所属する9万443人、日本写真著作権協会の8119人、日本美術家連盟の5967人など、7団体の延べ11万1413人。データベース内部では、電通が開発し国際電気標準会議(IEC)が2008年2月に標準化した「許諾コード方式」に準拠しており、将来は他のデータベースと連携できるように考慮している。

 当初の構想では、「著作者・権利者情報」と「作品情報」の2種類のデータベースを整備し、前者は氏名、生年月日、死亡年月日、住所、電話番号の5項目、後者は作品名、副題、著作者名、発行年月日の4項目を管理する予定であった。また、パブリックドメインであるか否かや、二次利用の可否といった情報も盛り込むとしていた。こうした当初の構想と比べ、今回公開したデータベースが大幅縮小となった背景については、「サイトの開発には費用がかかる。17法人の関係者には実演家もいればレコード会社もおり、個々の団体の状況も同じではないため、権利者団体の全員から賛同を得ることが大変だった」(同協議会の瀬尾太一氏)。また、個々の権利者の個人情報を公開することに慎重な意見もあったとする。

 同協議会の三田誠広代表は、「構想を表明した2年前はもっと楽観視していた。保護期間を死後70年に延ばすことはすぐ決まり、利用促進の道筋も見えてくると考えていた。そうなったらもっと予算を取って、パーフェクトなデータベースを作れただろう。だが、この2年間の議論を通じて保護期間の延長は厳しい状況になっているし、著作権そのものの体系まで見直すような大きな話の中に保護期間の延長問題も組み込まれているのが現状。そういうものを抜きにして、すべてを解決するとは言えなくなってきた」とコメント。保護期間の長短とデータベース整備の必要性との関連について直接言及してはいないものの、保護期間の延長が実現しないことが、権利者側のデータベース整備の機運にも影を落としたことを示唆した。

 このほか同サイトには、所在不明の権利者を探したい人が情報を書き込む掲示板「尋ね人Web」を用意している。ただし当面は、所属17団体の関係者のみ利用可能で、一般の人は書き込みも閲覧もできない。これについては、「権利者の個人情報が書き込まれ公開された場合に削除し切れないなど、オープンで運営するのに十分な管理体制を取るのが難しいと考えた。当面はクローズドで試験運用し、将来は公開できるように検討していきたい」(瀬尾氏)としている。