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 通常国会で審議されていた著作権法の改正案が2009年6月12日、参議院本会議で可決・成立した。2010年1月1日に施行される。

 今回の改正著作権法では、裁定申請中の著作物の利用に関する規定を新設(第六十七条の二)。権利者の所在が不明の著作物を二次利用する場合、文化庁に担保金を供託することにより、裁定を受ける前でも二次利用を可能にする。従来の裁定制度では、申請前に「相当な努力」を払って権利者を探すことが求められており、二次利用にかかる手間が過大であるとされていた。著作物の二次利用をめぐっては、テレビ局が過去に制作・放送した番組をインターネットなどで配信する取り組みが進められており、こうした動きを後押しするものとなっている。

 検索サイト関連では、キャッシュ生成に伴う複製に関する規定が設けられた(第四十七条の六)。検索サイトを業として行う者は、検索や検索結果の提供に必要な範囲内で、インターネット上のコンテンツを自社サーバーに複製し、データベースとして保管することができる。従来は検索サイトの構築・運用に伴うキャッシュの扱いが著作権法上明文化されておらず、検索サイトを運営する事業者などから懸念の声が出ていた。

 違法コンテンツ対策では、いわゆるダウンロード違法化規定を追加(第三十条第一項)。著作権を侵害しているインターネット上の録音/録画コンテンツを、侵害の事実を知りながらダウンロードし、ユーザーのパソコン内のHDDなどに複製する行為を違法とした。従来は、違法コンテンツであっても私的利用の範囲内であれば合法的にダウンロード、複製できる規定となっていた。

 この規定をめぐっては、ネットユーザーを中心に反対意見があった。これを受け、「違法配信と知らずに録音又は録画した著作物の利用者に不利益が生じないよう留意するとともに、本改正によるインターネット利用への影響について、状況把握に努めること」「本改正に便乗した不正な料金請求等による被害を防止するため、改正内容の趣旨の周知徹底に努めるとともに、レコード会社等との契約により配信される場合に表示される識別マークの普及を促進すること」という付帯決議が議決されている。また、同規定に違反した場合の罰則規定は設けず、ネットユーザーに一定の配慮をしている。

 このほか新設/改訂された主な内容は次の通り。

  • 国立国会図書館において、古い資料の劣化を防ぐ目的で複製/データベース化し、アーカイブを構築する(第三十一条第二項)。
  • 視覚障害者が著作物を認識できるよう、文字を音声に変換して複製したり、それをネット上にアップロードしたりできるようにする(第三十七条第三項)。
  • 聴覚障害者が著作物を認識できるよう、音声を文字に変換して複製したり、ネット上にアップロードしたり、貸し出し用として複製したりできるようにする(第三十七条の二)。
  • インターネット上のサーバーで故障や混雑が起こるのを予防したり、故障したサーバーを復旧したりするために、サーバー上のデータを複製できるようにする(第四十七条の五第一項)。
  • インターネット上のプロキシーサーバーにおいて、送信を効率的に行うために必要な範囲内でコンテンツの複製を認める(第四十七条の五第二項)。
  • 調査・研究などのために、インターネット上などの大量の著作物をコンピューターで解析する場合、必要と認められる限度内で複製を認める(第四十七条の七)。
  • 著作物の複製物をパソコンなどで合法的に利用する場合に、情報処理を円滑に効率的に行うために必要な範囲内で、パソコン内にキャッシュを生成することを認める(第四十七条の八)。
  • 美術/写真の著作物を譲渡/貸与しようとする場合に、作品の所有者やその委託を受けた者がDRMを施した上でネットオークションの画面などに画像を掲載することを認める(第四十七条の二)。
  •  このほか付帯決議において、「インターネット配信等による音楽・映像については、文化の発展に資するよう、今後見込まれる違法配信からの私的録音録画の減少の状況を勘案しつつ、適正な価格形成が促進されるよう努めること」という項目が盛り込まれている。