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 NECは2009年6月29日、中央研究所の研究開発技術に関する説明会を開催した。今回は、同社の研究開発の中核を担っていく技術として、「音声認識技術」「プログラマブルフロー・スイッチ」「大規模データのストリーム処理技術」の3つを解説した。
 
 音声認識技術は、NECが1960年から研究開発している分野。1960年に初めて京都大学と共同で試作した音声タイプライターは、50音限定の単音認識機だった。今回、解説したのは、2009年5月21日にSaaS型で提供を始めた会議録作成支援サービス。10万語を超える語彙(ごい)や言い回しを認識し、複数の人が入れ替わり発言しても、平均80%の認識を示すという。課題は、雑音環境下で複数の人が同時に発話しても、認識できるようにすること。複数のマイクで位置関係を認識させ、音声を検出する方法などを研究中という。

 プログラマブルフロー・スイッチとは、ネットワークのデータ転送機能とネットワーク制御機能を分離し、制御用のサーバーからデータフローを制御できるようにする基盤技術。2008年10月29日には、試作したプログラマブルフロー・スイッチの日米間での実証実験に成功した。この技術を利用することで、ネットワーク事業者などが、新しいサービスを柔軟に実現できるようになるという。2012年ごろの実現を目指している。

 大規模データのストリーム処理技術とは、収集したデータをデータセンターに溜めることなく、流れ作業的に階層処理していく技術。流れ作業の上流で再利用すると決めたデータだけを分析していくことで、データ処理を効率化する。例えば、道路の混雑状況をマップに示して可視化するサービスでは、現状はセンサーが設置された一部の道路のみのデータだけでも処理して反映されるまでに数分かかる。この技術を使えば、細い道路などのデータを含めても、数十秒で反映できるようになるという。