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 マイクロソフトは2009年11月5日、米マイクロソフトの最高経営責任者(CEO)であるスティーブ・バルマー氏の来日に合わせて記者会見を開催。同社の最新の戦略やビジョン、イノベーションへの取り組みについて説明した。

 バルマー氏は冒頭、「長期的な経済成長というものは、生産性の向上およびイノベーションによってもたらされる。昨今のような経済環境の中でこそ、イノベーションについて語ることが重要だ」と語り、イノベーションの一例として、10月22日に一般発売が始まったばかりのWindows 7について触れた。

 同氏によれば、日本では既に230社がWindows 7を採用しており、一般発売後10日間の売り上げはWindows XPやVistaなどよりはるかに良い。特にWindows 7搭載パソコンの売り上げは対前年比で20%増を記録するなど、好調な滑り出しを見せているという。「Windows 7はまさにイノベーションの例であり、こういった製品が、テクノロジーの市場において重要なものとなる。Windows 7のパソコンを人々が購入するのは、新しいことを実現できるからであり、より生産性を発揮できる、非常にうまくイノベーションを実現した好い例として、Windows 7を挙げたい」と話し、新OSの先進性をアピールした。

 しかし同氏は、現在の最新技術もまた、「10年後に振り返れば、何と原始的なものかと思うことになる」と予言する。「現在の技術では、我々の音声や意図を認識できないし、世界中の情報に即座にアクセスできない。メモを取るためにはまだ紙を使っている。ビデオカメラで撮影した映像と同期する形で、取ったメモの内容を配信することもできない。こうした発明をまだまだ期待できるはずだ」と、同社が取り組んでいるイノベーションの一端を紹介した。

 そんな5年後、10年後のイノベーションを表現するキーワードが「スリー・スクリーン・アンド・ア・クラウド(Three Screens and a Cloud)」だ。同社が最近好んで用いるようになった言葉で、直訳すると「3つの画面と1つのクラウド」。「3つの画面」はパソコン、携帯電話、テレビを意味し、「クラウド」はもちろんインターネットを表す。インターネットを介してパソコンや携帯電話、テレビが連携する、新たなプラットフォームのコンセプトである。

 「80年代以降、メインフレームからミニコンピューター、ミニコンピューターからパソコンへと移行し、さらにパソコンからクライアント+サーバー、インターネット、Web2.0と変革してきた。今現在の変革としては、インターネットおよびデータセンターのコンピューティングから、クラウドコンピューティングへの変革が見られる。IT分野の革命において、今まではパソコンが唯一のデバイスとして活躍してきたが、これからは携帯電話(スマートフォン)などインテリジェントな機能を備えるものが参加してくる。パソコン、携帯電話、テレビというスマートなスクリーンが、スマートなクラウドとやり取りするわけだ。我々はその中でイノベーションを実現し、推進していかなければならない。」

 このイノベーションが目指す将来像として、同氏はテレビでゴルフ番組を見ているときのシナリオを例に挙げた。「私の大好きなタイガー・ウッズがすばらしいショットを打ったところで、私は『おいビル。タイガーのあれを見たか?』とテレビに呼びかける。するとマイクロソフトのソフトウエアがすぐに起動して、『ビル』というのがビル・ゲイツのことだと自動で認識。ビルを探して、彼がクラウドを介して対話できるかどうかを確認する。そしてビルが『そうだね。ゴルフボールは何を使っているのかね?』と答えると、そのゴルフボールをインターネットで検索し、『新しいナイキ・ゴールドです。注文しますか?』と尋ねる。するとビルは『はい』と答えるだろう。エンターテインメントやテレビ、研究、学習、商取引などすべてにおいてクラウドがプラットフォームとして使われ、すっかり変わるのだ。」

 同社は、イノベーションに対して95億ドルもの研究開発投資を行い、新しいスクリーンや新しいアプリケーションの実現に取り組んでいるという。その中でWindows 7やOffice 2010のような製品が開発され、Xbox向けに来年登場する「ナタル」のような、ジェスチャーでコンピューターを制御するテクノロジーも生まれてくる。同氏は今後、従来型の「グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)」ではなく、自然言語やタッチ、身振りなどを認識する「ナチュラル・ユーザー・インタフェース(NUI)」が、ポイントになってくる点も指摘した。

 そんな将来のビジョンにおいても、やはり中心となるのはWindows製品群だとバルマー氏は強調する。「重要なのは、消費者に対してこうしたイノベーションを提供するWindows Phoneであり、Windowsパソコンであり、Windowsを搭載したテレビである。我々はWindows 7の現状に満足しているし、Windows Phoneの新しい製品も発表した。携帯電話やパソコン、テレビにおけるイノベーションと、我々がやっているすばらしいこと、他社がやっているすばらしいことがあいまって、クラウドコンピューティングを推進し、変革をもたらすことができると思っている。」

 最後に、記者らの質問を受けたバルマー氏は、今やライバルと目されているグーグルについても言及した。

 「グーグルは検索においてリーダーだが、クラウドコンピューティングのほかの分野においては、我々の方が早く市場を開拓しているし、我々がリーダーだと思っている。例えばメールやインスタントメッセージングの世界ではマイクロソフトがナンバーワンだし、ビジネスのクラウドコンピューティングの世界でも、既に何万という企業のユーザーが我々のクラウドコンピューティング版のExchangeやSharePointを利用している。」

 同氏の考えでは、ビジネス分野のクラウドコンピューティングで成功している会社はセールスフォース・ドットコムであり、グーグルよりむしろ同社がマイクロソフトのライバルになるという。また、プラットフォーム型のクラウドコンピューティングでは、アマゾンがリーダーだと指摘しつつ、「だが我々も今月からWindows Azureというプラットフォームを提供する。我々の強みは、クラウドにおいても、企業内のデータセンターにおいても、共通のプラットフォームを展開できる点だ。これは極めて重要なこと」と優位性をアピールした。そして「グーグルは検索の王様だが、ほかのすべてのクラウドコンピューティングにおいては我が社が先頭に立っている」と強調した。