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 文化庁長官の諮問機関で著作権制度全般について話し合う、文化審議会 著作権分科会の第30回会合が、2010年2月15日に開催された。権利制限の一般規定(いわゆる日本版フェアユース)について、分科会の下部組織である法制問題小委員会で集中審議し、3月末をめどに日本版フェアユースについて中間取りまとめを策定するとしている。

 今回の会合では、2010年度に設置する小委員会について、(1)著作権制度そのものに関する基本的な問題を話し合う「基本問題小委員会」、(2)日本版フェアユースを始めとする著作権法や関連法規の改正について話し合う「法制問題小委員会」、(3)世界各国や世界知的所有権機関(WIPO)などで行われる著作権関連の会合や条約への対応を話し合う「国際小委員会」、の3つとすることを決めた。小委員会の構成は2009年度と同じ。いずれの小委員会も、2009年度に検討した議題が継続審議となっていたため、小委員会の構成を変えずに2010年度の小委員会で続きを議論する。

日本版フェアユースの是非、中間まとめで方向性提示 最終決定は今秋に

 著作権分科会は例年、3月に新年度の最初の会合を開くのが通例となっており、今回のように最初の会合を2月中旬に催すのは異例である。これは、法制問題小委員会で検討中の日本版フェアユースについて、2010年3月までに中間取りまとめを作成することを目指しているためだ。日本版フェアユースは、政府の知的財産戦略本部が2009年6月に策定した「知的財産推進計画2009」において導入を検討する項目として挙げられており、「規定振り等について検討を行い、2009年度中に結論を得て、早急に措置を講ずる」と明記されていた。

 2009年度の法制問題小委員会では、複数の委員間で日本版フェアユースの導入に対する賛否が分かれ、審議が難航。事態を打開するため、法制問題小委員会のさらに下部組織としてワーキングチーム(WT)を設け、日本版フェアユースの導入についての論点を整理した素案をまとめたものの、法制問題小委員会としての方向性はまとまっていない。

 こうした状況を踏まえ、事務局である文化庁 長官官房 著作権課では、2010年度の著作権分科会を通常より繰り上げて始動。分科会に続き法制問題小委員会も2月18日に初会合を開き、日本版フェアユースの導入の是非について集中審議を行う予定だ。議論の進み具合によっては、2月から3月にかけて追加で数回の会合を開けるよう準備している。集中審議を経て、法制問題小委員会で3月末までに日本版フェアユースの方向性を定め、中間取りまとめを策定することで、知的財産推進計画2009のスケジュールに間に合わせる考えだ。その後、中間取りまとめに対する国民からの意見募集(パブリックコメント)を経て追加の議論を行い、2010年秋をめどに法制問題小委員会としての最終報告をまとめる。

中山信弘氏「分科会は後ろ向きで非生産的。積極的に打って出る施策を」

 この日の分科会では、自由討議の時間も設けられた。副分科会長を務める中山信弘委員(東京大学名誉教授)は「どうも分科会の議論は、後ろ向き、非生産的に思えてならない。コンテンツの対価をどのように権利者やクリエイターに分配するか、将来を担う若い人材をどう育成するか、積極的かつ現実的に議論しなければいけない」と指摘した。

 中山氏はさらに、自らも主査として携わった2006~08年度の私的録音録画小委員会を例に挙げ、「私的録音録画補償金について、たかだか30億円程度で大の大人が何年も議論していたが解決せず、あげく訴訟まで起きている。金額を1けた増やし、300億円や1000億円は集めないと、各クリエイターに十分な還元ができない。やるならきちんとやるべきで、日本が積極的に打って出るような施策を検討しなければいけない。それができなければ、米グーグルなどが世界中のコンテンツを収集していくなかで、日本だけが入らず取り残されることになりかねない」と語り、コンテンツの対価の徴収・分配モデルについて分科会で具体的な議論をすべきと主張した。

 三田誠広委員(日本文藝家協会副理事長)や福王寺一彦委員(日本美術家連盟常任理事)は、保護期間の延長問題に言及。「首相がどこかのパーティーで保護期間を70年にしようと発言したとのうわさが広がっている。それに反対する人たちの議論もネット上で広がっている。『保護期間の議論は終了した』という人もいるが、私は裁定制度の議論の途中でストップしていると認識している。ここ数年の法改正やデータベース整備で裁定制度の使い勝手が改善したことを踏まえ、ユーザーが保護期間の延長についてどう考えているか聞いてみたい」(三田委員)と語り、保護期間の延長を再び分科会や小委員会の議題として採り上げるよう求めた。