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 PHS最大手のウィルコムは2010年2月18日、会社更生法の適用を東京地方裁判所に申請した。負債総額は2060億円。同社は同日付で、企業再生機構に支援を申し込み、今後は同機構の支援を受けて再建手続きを進める。また、スポンサー候補としてソフトバンク、アドバンテッジパートナーズ有限責任事業組合とも協議をしていることも正式に表明。現行のPHSサービスを継続しつつ、ウィルコムが進めている次世代PHS事業「WILLCOM CORE XGP」の立ち上げを目指す。

 同社は1994年にDDIポケット企画として設立。1995年7月にPHSサービスを始めた。当初は通話音質の良さや端末の安さなどで携帯電話に対する差異化を図り、その後は定額制データ通信サービス「Air H"」(AIR-EDGE)、ウィルコム端末同士で24時間話し放題となる料金プラン「ウィルコム定額プラン」、Windows Mobile搭載のスマートフォン「W-ZERO3」などを打ち出し、ユーザーの支持を集めていた。ピーク時の2007年7月には465万9100件の契約者を抱えていたが、その後は携帯電話事業者各社が3Gのコンテンツサービスを充実させ、パケット通信のデータ通信速度でPHSを上回ったりするなどして、PHSの優位性が揺らいでいた。

 同社はPHSのデータ通信速度を大幅に高めた次世代PHSサービス「WILLCOM CORE XGP」の商用化により打開を目指したが、加えて2008年秋以降の金融危機の影響で、新たな融資や出資、借り入れなどが困難となり資金繰りが悪化。XGPに向けた設備投資などの負担が重くなった上、PHSでも広告予算を削るなどしたため、解約を補うだけの新規契約を獲得するのが困難になっていた。

 ウィルコムの通信サービスの契約者数は、2010年1月末時点で432万6000件(うちPHSが424万800件、WILLCOM CORE 3Gが8万5200件)。同社では、契約者に対する通話・通信などのサービスは従来通り提供するとしている。また、筆頭株主である京セラや金融機関などを除く取引先との一般債権についても、従来通りの取引条件で支払うとしている。なお、同社は当初、事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)による経営再建を目指し2009年9月に同手続きを申請していたが、今回の会社更生法適用申請を受けて事業再生ADR手続きは終了となった。

 ウィルコム 代表取締役社長の久保田幸雄氏は同日開かれた記者会見で、「このような形で多大なご迷惑を関係者にお掛けしたことについて、深くお詫びする」と謝罪。その上で会社更生法申請に至った経緯として、「XGPの計画を立てた段階では、PHSのキャッシュフローでXGPに投資できると考えていた。しかし、2007年12月の免許取得後に競争環境が予想以上に激化し、現行PHSからもキャッシュフローが期待通りに得られなくなった。また、2008年夏以降の金融危機でリファイナンスが難しくなった。XGPの投資負担が重く、2009年9月の債権に対する約定弁済が迫っていたため、やむを得ず同月24日にADRを申請した。ただ、ADRを申請したという情報が市場に流れ、新規契約が減り解約が増加した。これにより(事業再生ADRで目指していた)返済スケジュールの見直しによる自主再建が難しくなった。スポンサー候補としてあらゆる選択肢を検討していたが、最終的に迅速にかつ透明性をもって進める上で更正法が最も適切だと考えた」と、淡々とした表情でコメントした。

 今後については「PHSはナローバンドだが、音声中心で低コストでサービスを提供できる。パソコンのセキュリティモジュールやカーナビ、AED、エレベーターやATMなど、さまざまな機器への組み込み用途では、今後も市場の拡大が見込める。音声についても、24時間無料通話サービスは高校生の支持を得ている。スポンサーが決定し当面の資金繰りにめどが付けば、春商戦や夏商戦に向け広告を再開でき、再びウィルコムの魅力を訴えられる」と語り、再建は可能との見通しを示した。

 久保田社長と報道陣との主なやりとりは次の通り。