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 日立製作所とKDDIは2010年7月12日、携帯電話に内蔵できるモジュール型のRFIDリーダー/ライターを開発したと発表した。主に業務用途での利用を想定している。作業員が出先で機器に取り付けられたRFIDを読み取り、整備履歴を確認するといった使い方が考えられる。総務省の委託研究として2008年度から開発してきたもので、今年秋以降は実証実験を開始し、2011年度以降の実用化を目指す。

 モジュールは、専用ICチップとアンテナを内蔵しており、法人向け携帯電話「E05SH」のSDIO(secure digital input/output)スロットに刺し込んで利用する(図1)。通信距離は、RFIDタグ内部に電源を持たないパッシブ型の場合は数cm、RFIDタグ内に電源を持つアクティブ型の場合は十数m。

 従来、RFIDを読み込むためには、大きなアンテナが付いた専用の読取装置を設置する必要があった。携帯電話に内蔵できるようにすることで、屋外や出先でもRFIDを読み取れるようにした。訪問先で機器に取り付けられたRFIDを読み取り、携帯電話の通信機能でサーバーにアクセスし、修理履歴を参照するといった使い方ができる(図2)。アクティブ型の通信を利用すれば、高い位置など手が届きにくい場所に設置された機器の情報を手軽に入手できる。個人向けとしては、観光情報を配信する、クーポンを提供するといった用途が考えられるという。

 RFIDの通信に使う周波数はUHF帯(860~960MHz)。将来の普及を目指し、欧米で使われているRFIDタグの周波数帯をカバーした。