デルは2010年8月27日、従来は中国・大連で提供していた個人向け製品の電話サポート体制を改め、8月から一部業務を宮崎県のサポートセンターに移管したことを明らかにした。中国・大連では主に中国人が日本語での電話サポートの業務にあたっているため「言葉が通じにくい」と訴えるユーザーが多かった。これまで宮崎では企業向け製品に対するサポートを提供してきたが、個人向け製品に範囲を拡大することで、さらなる顧客満足度の向上を目指す。
サポートの提供場所を大連から宮崎に変更した製品は、処理性能やデザイン性を重視したハイエンドモデルのXPSとAlienware。現状では試験的な移行という方針を取っており、「販売数の多いInspironやDimensionではなく、変更のしやすさを考慮してXPSとAlienwareを選択した」(ジャパンサービス統括本部 宮崎カスタマーセンター 角昭雄テクニカルサポート本部長)。9月以降は、他社製ソフトの質問に答える有料のサポートメニュー「デルヘルプデスク」の業務も宮崎に移す。Inspironなど個人向け製品に対する中国・大連のサポート体制は維持する。
同社の調査によると、宮崎のサポートを受けた企業ユーザーによるサポートの満足度は2008年10月以降は90%を超えている。一方、同じ指標で調査をすると、中国・大連で行っている個人向けサポートの満足度は80%以下に下がる。こうした中国でのサポートのイメージが強いためか、「本来、宮崎でサポートを行っている企業ユーザーからも“中国の担当者が電話に出る”と誤解されるケースもある」(宮崎カスタマーセンター小林治郎センター長)という。企業向けと個人向けで広がっていたサポート品質のギャップを埋めるべく、宮崎でサポートを受ける個人向け製品の拡大も検討していく。
宮崎カスタマーセンターでは、企業向けのサポートも強化する。従来はサーバー関連製品で24時間365日のサポートを提供する際に、1日の中で12時間は宮崎、残りの時間は提携する外部の業者が応対していた。これを改め、2010年9月からは宮崎のカスタマーセンターが24時間のサポートを提供する。
宮崎のカスタマーセンターは2005年11月に設立。宮崎県や周辺地区で社員を採用し、約530名が在籍する。そのうち約300名がサポート担当者で、約200人が営業担当者。丁寧なサポートを提供できるように人材育成を強化した。同社指標における顧客満足度は、2006年で80%程度だったが、2008年10月移行は90%を超える値を維持している。デルのサポート拠点は全世界に約60カ所あるが、90%を超える満足度を出しているのは、宮崎と、中国で中国人向けにサポートを提供している拠点の2つだけという。