キヤノンは、8月30日、インクジェット複合機「PIXUS」シリーズの2010年秋モデル6機種を発表した。同社がPIXUSブランドを立ち上げてから、今年でちょうど10年目。これを機に本体デザインを一新するとともに、無線LANの搭載機種を拡充し、スマートフォンからの印刷も可能にするなど、モバイル時代に向けた新しい取り組みも見せている。
発表会の席上、キヤノンマーケティングジャパンの佐々木統専務は「今回の新ラインアップでは、美しさをトコトン追求した」と力説。具体的な内容として「外観デザイン、印刷画質、使い勝手の3点において、洗練された美しさをユーザーに提供したいと考えた」という。
まず、外観デザインについては、従来のボックス型デザインを踏襲しつつ、カラーを2009年秋冬モデルのシルバーから鏡面仕上げのブラックに変更。また、液晶パネルには、必要な操作キーだけが発光して操作を誘導する「Intelligent Touch System」を搭載した。
印刷画質の面で注目したいのが「染料タイプ」と「顔料タイプ」の2種類の黒インクを用意したこと。一般に、写真は染料が美しく、文字は顔料が美しいと言われる。2種類のインクを混合したり使い分けることで、原稿の種類に合った最適な印刷を実行する。
使い勝手の面では、無線LANへの対応を一段と強化した。新シリーズ6機種のうち、MG8130、MG6130、MG5230の3機種が無線LAN機能を搭載。この3機種はいずれも、無線LAN経由でiPhone、iPod touch、iPad、Android端末から写真をプリントすることが可能だ。これは、スマートフォンで写真を閲覧するユーザーが増えていることを踏まえ、「閲覧だけで終わらせず何とか印刷まで誘導したい」というメーカー側の狙いを込めたものだ。
佐々木専務は「今年もエプソンさんとは厳しい戦いになると思うが、今回の製品コンセプトを全面に打ち出して効果的な販促をすれば、必ず競り勝つことができる」と自信を見せる。今年の後半戦も、両社の戦いは激しさを増しそうだ。