PR

 「2008年4月にAtomを発表して以来、ネットブック向けだけで7000万個以上も出荷した。興味深いのは、ユーザーの4割以上は初めてインテル製CPUの搭載機を購入する人たちだったということ。そして今、AtomはさまざまなSoC(system on a chip)製品へと展開されている。冒険小説に胸躍らせている私の子供たちと同じように、私はAtomのさまざまな用途への展開を目にし、未来の私たちはどんなにすばらしい体験ができるだろうと考え始めているところだ――」。

 米インテルは、2010年9月13日(米国時間)から15日まで米サンフランシスコで開催中のコンピューター技術者向け会議「Intel Developer Forum 2010 San Francisco」において、小型機器向けCPU「Atom」の新製品を発表。併せて今後の製品計画も明らかにした。9月14日に行われた基調講演に登壇した同社 副社長兼組み込み・通信グループ担当ゼネラルマネージャーのダグラス・デービス氏は冒頭のように語り、ネットブックやネットトップだけでなくさまざまな機器にAtomの採用が広がっていくとの自信を示した。

デジタル家電向けと車載・産業向けの2品種を発表

 この日新たに発表したのは、主にテレビやセットトップボックス(STB)に向けた「Atom CE4200」(開発コード名Groveland)と、カーナビや産業用コンピューターなどの組み込み用途に向けた「Atom E600」(開発コード名Tunnel Creek)。Atom CE4200は現行品種であるAtom CE4100の改良版で、3D映像の再生機能やH.264形式の映像のエンコーディング機能などを追加している。韓国サムスン電子など4社が、それぞれ自社製セットトップボックスへのAtom CE4200の採用を決めたとしている。

 Atom E600は、PCI Expressをベースにしたインターコネクトを介して任意のI/OコントローラーLSIに接続する仕組みを採用したのが特徴。インターコネクトの仕様は公開しており、インテル製のPCH(Platform Controller Hub)と呼ばれるI/OコントローラーLSI以外にも、例えば車載機器やスマートグリッドシステム、FA(Factory Automation)システムといった用途に応じて、他社製のI/OコントローラーLSIを自由に組み合わせられる。既にOKIセミコンダクターや伊仏合弁STマイクロエレクトロニクスなどが対応するI/OコントローラーLSIの出荷を初めている。車内など過酷な条件下に設置する組み込み機器への採用を目指して、動作可能温度を通常版のセ氏0~70℃からセ氏-40~85℃に広げた品種も用意する。

新シリーズのAtom搭載のタブレット機や、CPUコア・FPGA混載品を披露

 現在開発中の製品としては、タブレット機向けの「Oak Trail」(開発コード名)搭載のタブレット機の試作品を披露した。同製品は、スマートフォン向けのAtom Z600番台(開発コード名Moorestown)とネットブック向けのAtom Nシリーズの中間という位置づけで、米アップルの「iPad」のようなタブレット機や、現行のネットブックより薄型の製品などを想定して投入する新シリーズである。既存のAtom搭載タブレット機より薄いきょう体と長時間のバッテリー駆動を実現しつつ、動画再生にも耐えうる処理性能を確保する。また、MeeGoやAndroidといったLinux系OSのほか、Windows 7も動作可能にするとしている。

 また、Atom E600と米アルテラ社のFPGA(Field Programmable Gate Array)を単一のダイに混載する「Stellarton」(開発コード名)を2011年前半に量産出荷すると表明、Stellartonの試作チップを壇上で披露した。FPGAはユーザーが回路を自由にプログラミングできるLSIで、既存のAtomがカバー仕切れていない用途に向けても、FPGA部をカスタマイズすることでAtomを適用できる可能性が出てくる。

 このほかデービス氏は「ムーアの法則はAtomにも適用していく。2011年には製造プロセスを32nmに微細化したCPUコアである『Saltwell』(開発コード名)を実用化し、同年以降に量産出荷するAtomは32nmプロセスとしていく」と表明した。