千葉工業大学は2010年9月16日、可搬重量が100kgの大型二足歩行ロボット「core(コア)」を発表した。関節駆動用の大型モーター、両足の衝撃吸収機構を開発することで、可搬重量性能を向上させた。ロボットを福祉に役立てることを視野に入れ、2012年に搭乗型ロボットの開発を目指す。
coreの身長は1.9m、体重は230kg。巨大な体を支え、可搬重量を高めるために大出力のモーターを開発した。モーター1台の出力は最大3000ワット。一般的な電動スクーターが搭載する約600ワットのモーターに比べると、出力は約5倍となる。coreは歩行のために合計で12台のモーターを備えている。
動作時の消費電力を低減するため、モーター部にはブレーキを組み込んだ。一般に、ロボットが関節の角度を保持するときには、モーターの電磁力で位置を固定するため、大きな電力を必要とする。coreのモーターでは、内部のブレーキが関節を固定する機能を持っているため、ロボットの姿勢を保つときに大きな電力がかからない。
足の着地部分には、歩行の安定性を高めるための衝撃吸収機構を装備する。複数のダンパーを内蔵しており、着地の際の衝撃を80%吸収できる。
同大学では今後、2011年にはサイズを一回り小さくしたロボット、2012年には搭乗型二足歩行ロボットの開発を進める。「少子高齢化が進み、ハイパワーで人をサポートするロボットが求められていく」(古田貴之 千葉工業大学未来ロボット技術研究センターfuRo所長)として、将来的には、福祉や介護を必要とする人の移動手段として役立てるロボットを目指す。このビジョンを実現するために、今回のcoreで新開発した大出力モーターのような「開発過程の部品が重要になる」(古田所長)として、外部企業との連携を進めつつ、技術を蓄積していく方針を示した。