2010年10月11日、NVIDIAは低価格機向けの新型グラフィックスチップ「GeForce GT 430」を発表した。DirectX 11に対応した製品で、既存のDirectX 10.1対応チップ「GeForce GT 220」の置き換えとなる。12日には、ボードメーカー各社が7000~9000円で搭載ボードを発売した。日経WinPC編集部はGeForce GT 430を搭載したボードを2製品入手。性能と消費電力を検証した(関連記事:NVIDIA、低価格PC向けの「GeForce GT 430」を発表)。
GeForce GT 430は、同社の「Fermiアーキテクチャー」に基づく製品。ミドルクラスの「GeForce GTX 460」の設計を踏襲している。Fermiアーキテクチャーで演算回路の単位となる「Graphics Processing Clusters(GPC)」は、GTX 460とGT 430の中間の「GeForce GTS 450」と同じ1個。ただ、GTS 450が演算機構の集合体である「Streaming Multiprocessors(SM)」をGPC内に4個備えるのに対し、GT 430は2個に削減されている。シェーダー(NVIDIAの呼び名はCUDAコア)の数は96個と、GeForce 400シリーズの中では最も少ない。主な仕様は以下にまとめた。
チップ名称 | GTX 460 | GTS 450 | GT 430 |
---|---|---|---|
GPC(※1) | 2個 | 1個 | 1個 |
SM(※2) | 7個 | 4個 | 2個 |
シェーダー(CUDAコア)数 | 336個 | 192個 | 96個 |
テクスチャーユニット数 | 56個 | 32個 | 16個 |
ROPユニット数 | 32個 | 16個 | 4個 |
コア動作周波数 | 675MHz | 783MHz | 700MHz |
シェーダー動作周波数 | 1.35GHz | 1.566GHz | 1.4GHz |
メモリー 動作周波数 | 3.6GHz | 3.608GHz | 1.6G~1.8GHz |
メモリー 容量 | GDDR5 768MB、1024MB | GDDR5 1024MB | GDDR5/DDR3 1GB |
メモリー バス幅 | 192ビット(1024MBは256ビット) | 128ビット | 128ビット |
メモリー 転送速度 | 86.4GB/秒(1024MBは115.2GB/秒) | 57.7GB/秒 | 最大28.8GB/秒 |
製造プロセス | 40nm | 40nm | 40nm |
消費電力(最大、ボード) | 150W(1024MBは160W) | 106W | 49W |
電源ユニットの推奨出力 | 450W | 400W | 300W |
演算性能が抑えられていることもあり、補助電源は不要でボードはコンパクト。ロープロファイル対応品や、ファンレスモデルなど、多様な製品が発売になった。今回は、ASUSTeK Computerの「ENGT430/DI/1GD3(LP)」(実勢価格は9500円)と、ZOTAC Internationalの「GeForce GT430 1GB DDR3 PCIE 2slot heatsink Zone Edition(ZT-40601-20L)」(同9000円)をテストに使用した。
ENGT430/DI/1GD3(LP)は、耐久性の高さを売りの一つにした、ロープロファイル対応の製品。ファンを防塵タイプにしたほか、電源回路を構成している部品に一般的なグラフィックスボードで使用しているタイプよりも品質の高い製品を採用した。グラフィックスメモリーはDDR3 1GB。動作周波数はコアが700MHz、メモリーが1.6GHzだ。

GeForce GT430 1GB DDR3 PCIE 2slot heatsink Zone Editionは、大型ヒートシンクを採用してファンレスにしたモデル。メモリーはDDR3 1GBで、動作周波数はコアが700MHz、メモリーが1.6GHz。