PR

 NASを手がけるThecus Technologyと販売代理店のユーエーシーは2010年10月30日、東京・秋葉原でユーザー向けイベント「Thecusシーカス秋のなす?NAS」を開催した。会場は「CAFFE SOLARE リナックスカフェ秋葉原店」。最新製品を展示したほか、10Gbit Ethernetを使った高速データ転送のデモ、同社製品の特徴の解説などのセミナーを実施した。

Thecus製品の特徴を解説する、ユーエーシーの竹原芳明氏。IntelとThecusの協力関係を強調。「NASにPCI Expressスロットを備えており10Gbit Ethernetボードを挿せるが、Intel製ボードで検証した。密に協力しているので性能が引き出せる」。
Thecus製品の特徴を解説する、ユーエーシーの竹原芳明氏。IntelとThecusの協力関係を強調。「NASにPCI Expressスロットを備えており10Gbit Ethernetボードを挿せるが、Intel製ボードで検証した。密に協力しているので性能が引き出せる」。
[画像のクリックで拡大表示]

 Thecusの新製品は3モデル。4台のドライブを内蔵できる「N4200」の機能強化版である「N4200Pro」と「N4200Eco」、2台のドライブが使える「N2200」の後継製品「N2200PLUS」だ。N4200は、制御用のプロセッサーとしてIntelのAtom D510を採用していたが、N4200Proと同EcoはAtom D525に変更。対応メモリーはDDR2からDDR3に変わった。データの転送速度が90MB/秒になったという。

新製品のN4200ProとN4200Ecoの特徴。Mini-UPSやDual DOMは現行製品も備えている。大きな変更点は従来のAtom D510(1.66GHz)+DDR2メモリーからAtom D525(1.8GHz)+DDR3メモリーにした点だ。
新製品のN4200ProとN4200Ecoの特徴。Mini-UPSやDual DOMは現行製品も備えている。大きな変更点は従来のAtom D510(1.66GHz)+DDR2メモリーからAtom D525(1.8GHz)+DDR3メモリーにした点だ。
[画像のクリックで拡大表示]

新製品のN4200Pro。外観はN4200Ecoも同じだ。
新製品のN4200Pro。外観はN4200Ecoも同じだ。
[画像のクリックで拡大表示]

 N4200Proは現行のN4200の機能を引き継ぐが、N4200Ecoは「Mini-UPS」と「Dual DOM」の機能を省いて価格を抑えた。Mini-UPSはリチウムイオンバッテリーの搭載により、電源供給が絶たれてもバッファーに残ったデータを書き出して安全にシャットダウンする機能。Dual DOMはシステム用ソフトウエアを2重化して障害に備える機能だ。N4200Proも同Ecoも価格は調整中で未定という。

 N2200PLUSはプロセッサーを変更して大幅に高速化した点が特徴。現行モデルのプロセッサーは366MHzで動作しているが、800MHz動作のチップにした。Windowsのファイル共有だと、「従来のおよそ2倍の60M~70MB/秒でデータを転送できるようになった」(Thecus Technologyのピーター・サン氏)。11月末から12月にかけて発売の予定で、「現行モデルと同じく2万円前後にしたい」(ピーター氏)。

2ドライブモデルのN2200は、N2200PLUSになる。プロセッサーの動作周波数が上がったことでデータ転送速度が2倍近くになったという。
2ドライブモデルのN2200は、N2200PLUSになる。プロセッサーの動作周波数が上がったことでデータ転送速度が2倍近くになったという。
[画像のクリックで拡大表示]

 今後、Thecusはユーザーインターフェースも改良する。一般消費者向けにより分かりやすくしたもので、2011年1月に公開する予定。現行製品のユーザーも無料でアップグレードできるという。3TBのHDDには、近いうちに対応する。

会場では7台のドライブを内蔵できるモデルとPCを10Gbit Ethernetで直結して速度を測るデモを実施。
会場では7台のドライブを内蔵できるモデルとPCを10Gbit Ethernetで直結して速度を測るデモを実施。
[画像のクリックで拡大表示]

左上が10Gbit Ethernetで接続したNASの読み書き速度。順次書き込みは296.6MB/秒、ランダム書き込みも266.3MB/秒。「SSDを使うと600MB/秒になる」(Thecusのピーター氏)。
左上が10Gbit Ethernetで接続したNASの読み書き速度。順次書き込みは296.6MB/秒、ランダム書き込みも266.3MB/秒。「SSDを使うと600MB/秒になる」(Thecusのピーター氏)。
[画像のクリックで拡大表示]

2.5インチドライブ2台が使える「D0204」。USB 3.0に対応した。手のひらサイズの小ささだ。RAID0/1、JBODをサポート、ホットスワップもできる。
2.5インチドライブ2台が使える「D0204」。USB 3.0に対応した。手のひらサイズの小ささだ。RAID0/1、JBODをサポート、ホットスワップもできる。
[画像のクリックで拡大表示]

 イベントの終盤にはインテルの天野伸彦氏が登場。Thecusの最新製品が採用したAtomの特徴やロードマップについて語った。Atom D525(1.8GHz)は、Atom D510(1.66GHz)と基本的には同じで、プラットフォームとしてDDR3に対応した点が最大の特徴。ただし、メモリーモジュールはSO-DIMMのみの対応となる。今後の製品は、プロセッサーコアそのものはあまり進化しない。現行のAtomはグラフィックスの出力がアナログRGBやLVDSのみだったり、DirectX 10に非対応だったりと弱い点があるため、「HDMIやDVIをサポートし、DirectX 10にも対応、動画再生支援機能などが搭載されたらよいと思っている人が多い。そういった不満点を改良していけたらよいと思っている」(天野氏)とした。

イベント終盤のセミナーでは、インテルの天野伸彦氏が登壇。Atomについて解説した。
イベント終盤のセミナーでは、インテルの天野伸彦氏が登壇。Atomについて解説した。
[画像のクリックで拡大表示]

Atomなどのロードマップ。Atom D525は「Bandon」プラットフォームの製品。後継製品は、「この帯が切れたあとに登場する」(天野氏)。ただし、横軸に時期は書かれていない。
Atomなどのロードマップ。Atom D525は「Bandon」プラットフォームの製品。後継製品は、「この帯が切れたあとに登場する」(天野氏)。ただし、横軸に時期は書かれていない。
[画像のクリックで拡大表示]

DDR3ベースのAtom製品のポイントを解説した。SO-DIMMのみ対応する。モジュール上のチップ構成に制限があるが、最近のAtom搭載マザーボードはBIOSで対応することにより、サポートするモジュールを増やしている。
DDR3ベースのAtom製品のポイントを解説した。SO-DIMMのみ対応する。モジュール上のチップ構成に制限があるが、最近のAtom搭載マザーボードはBIOSで対応することにより、サポートするモジュールを増やしている。
[画像のクリックで拡大表示]

「2.2TBの壁」を超える、2.5TBや3TBのHDDについての注意点にも触れた。起動に使うには、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)対応のBIOSや64ビット版のWindows Vista/7が必要。「Intel製マザーボードはP35時代からUEFIに対応していた。Sandy Bridgeでは、従来のBIOS(レガシーBIOS)だとIntelはサポートしないとしたので、Sandy Bridge用のマザーボードはほぼEFI対応になるはず」(天野氏)。
「2.2TBの壁」を超える、2.5TBや3TBのHDDについての注意点にも触れた。起動に使うには、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)対応のBIOSや64ビット版のWindows Vista/7が必要。「Intel製マザーボードはP35時代からUEFIに対応していた。Sandy Bridgeでは、従来のBIOS(レガシーBIOS)だとIntelはサポートしないとしたので、Sandy Bridge用のマザーボードはほぼEFI対応になるはず」(天野氏)。
[画像のクリックで拡大表示]

■変更履歴
変更履歴 記事公開時、イベントの日時を「10月29日」としておりましたが、正しくは「10月30日」です。お詫びして訂正します。該当部分は修正済みです。