NASを手がけるThecus Technologyと販売代理店のユーエーシーは2010年10月30日、東京・秋葉原でユーザー向けイベント「Thecusシーカス秋のなす?NAS」を開催した。会場は「CAFFE SOLARE リナックスカフェ秋葉原店」。最新製品を展示したほか、10Gbit Ethernetを使った高速データ転送のデモ、同社製品の特徴の解説などのセミナーを実施した。
Thecusの新製品は3モデル。4台のドライブを内蔵できる「N4200」の機能強化版である「N4200Pro」と「N4200Eco」、2台のドライブが使える「N2200」の後継製品「N2200PLUS」だ。N4200は、制御用のプロセッサーとしてIntelのAtom D510を採用していたが、N4200Proと同EcoはAtom D525に変更。対応メモリーはDDR2からDDR3に変わった。データの転送速度が90MB/秒になったという。
N4200Proは現行のN4200の機能を引き継ぐが、N4200Ecoは「Mini-UPS」と「Dual DOM」の機能を省いて価格を抑えた。Mini-UPSはリチウムイオンバッテリーの搭載により、電源供給が絶たれてもバッファーに残ったデータを書き出して安全にシャットダウンする機能。Dual DOMはシステム用ソフトウエアを2重化して障害に備える機能だ。N4200Proも同Ecoも価格は調整中で未定という。
N2200PLUSはプロセッサーを変更して大幅に高速化した点が特徴。現行モデルのプロセッサーは366MHzで動作しているが、800MHz動作のチップにした。Windowsのファイル共有だと、「従来のおよそ2倍の60M~70MB/秒でデータを転送できるようになった」(Thecus Technologyのピーター・サン氏)。11月末から12月にかけて発売の予定で、「現行モデルと同じく2万円前後にしたい」(ピーター氏)。
今後、Thecusはユーザーインターフェースも改良する。一般消費者向けにより分かりやすくしたもので、2011年1月に公開する予定。現行製品のユーザーも無料でアップグレードできるという。3TBのHDDには、近いうちに対応する。
イベントの終盤にはインテルの天野伸彦氏が登場。Thecusの最新製品が採用したAtomの特徴やロードマップについて語った。Atom D525(1.8GHz)は、Atom D510(1.66GHz)と基本的には同じで、プラットフォームとしてDDR3に対応した点が最大の特徴。ただし、メモリーモジュールはSO-DIMMのみの対応となる。今後の製品は、プロセッサーコアそのものはあまり進化しない。現行のAtomはグラフィックスの出力がアナログRGBやLVDSのみだったり、DirectX 10に非対応だったりと弱い点があるため、「HDMIやDVIをサポートし、DirectX 10にも対応、動画再生支援機能などが搭載されたらよいと思っている人が多い。そういった不満点を改良していけたらよいと思っている」(天野氏)とした。
変更履歴 記事公開時、イベントの日時を「10月29日」としておりましたが、正しくは「10月30日」です。お詫びして訂正します。該当部分は修正済みです。