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 「日本の迷惑メール(スパム)状況は、全世界の平均と同等かそれよりも悪い。2010年10月は、やり取りされたメールの89.6%が迷惑メールだった」。米シマンテックの上級副社長を務めるローワン・トロロープ氏は2010年11月1日、国内外における迷惑メールおよびウイルスメールの現状について解説した(図1)。

 シマンテックでは、同社サーバーで迷惑メール対策やウイルス対策などを実施するサービスを企業などに提供している。今回公表したデータは、同社サービスを利用している企業などの情報を集計したもの。同社サービスのユーザー企業は全世界で3万2000社に上るため、「インターネットの現状を反映した結果になっている」(トロロープ氏)。

 トロロープ氏の解説によると、全メールに占める迷惑メールの割合は、全世界(グローバル)と日本のいずれも、9割程度に達しているという(図2)。2010年10月には、日本の迷惑メール比率は、全世界の比率よりも高くなった。

 日本で確認した迷惑メールのうち、8.9%は日本語、78.9%は英語で記述されていた。トロロープ氏によると、日本語の迷惑メールが増えているという。その一因は、「英語の迷惑メールを、自動翻訳ツールで日本語に変換しているケースが増えているため」(同氏)。

 ウイルスメールの流通状況についても解説した。2010年10月のデータでは、全世界では221.9通に1通、日本では738.1通に1通がウイルスメールだったという(図3)。

 最近では、特定の企業や組織を狙った「標的型攻撃」のウイルスメールが急増。国内では、同社サービスのユーザー企業22.6社に1社の割合で、標的型攻撃のメールを確認しているとする。「攻撃者は、多くのユーザーにウイルスメールを送信するより、標的型攻撃の方が“効果”が高いと考えているようだ」(トロロープ氏)。