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 著作権の権利制限の一般規定(いわゆる日本版フェアユース)について検討している、文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(法制小委)の2010年度第10回会合が、2010年11月2日に開催された。この中で、事務局である文化庁 長官官房 著作権課が、小委員会の報告書案を公表。これまで議論されてきた内容に沿う形で、対象とする利用形態を限定した形での小幅導入とする方向性を示した。出席した委員も大筋でこれを了承しており、早ければ12月に法制小委としての最終報告書をまとめ、2011年の通常国会に提出する見通し。

 この日公表した報告書案は、2010年4月に公表した「権利制限の一般規定に関する中間まとめ」を基に、同年8月に実施した関係団体へのヒアリングを踏まえて修正したもの。公表された報告書案は全文ではなく、「権利制限の一般規定を導入する必要性について」の章と「権利制限の一般規定を導入する場合の検討課題について」の章を抜粋したもの。「それ以外の部分は中間まとめの内容と変わっていない」(事務局)とする。

 今回公表した部分についても、基本的な方針はこれまでと同様。具体的には、「著作物の付随的な利用」(A類型)、「適法利用の過程における著作物の利用」(B類型)、「著作物の表現を享受しない利用」(C類型)という3つの類型において一般規定を導入し、従来の限定列挙方式より対象を広げる。

 ただし、プログラムの著作物についての説明を大幅に加筆し、原則として「プログラムの著作物のみを明示的に権利制限の対象から除外することは適当でないが、C類型ではプログラムの著作物の特殊性を十分考慮する必要がある」としている。このほかは、小幅な文言の修正や補足、報告書案の構成の入れ替えなどにとどまっている。

 この日の会合では、「A類型の説明にある『主たる目的としない』『軽微な程度』『付随的に』といった文言は指し示す内容があいまいなので明確にしてほしい」(中村芳生委員)、「C類型の説明にある、当該著作物の表現を『知覚』するという部分は削除してほしい」(中山信弘委員)といった修正を求める意見が出されたものの、ほかの委員からの反対もあり、これまでの小幅導入の方針に沿って決着する見通しである。

 今後は、12月に予定されている次回の会合で、法制小委としての報告書をまとめ、上位組織である著作権分科会の2011年1月の会合に送られる。著作権分科会の承認を経て、文化庁と内閣法制局が中心となって法案を作成し、2011年の通常国会に著作権法改正案を提出する。同国会で法案が可決成立すれば、2012年1月にも日本版フェアユースの運用が始まるとみられる。