PR

 NVIDIAは2010年11月9日、新しいグラフィックスチップ「GeForce GTX 580」を発表した。DirectX 11に対応した同社のデスクトップPC向けチップの最上位製品となる。これまでの最上位チップであるGTX 480の設計を改良して、動作周波数を引き上げた製品で、NVIDIAは性能向上と消費電力低下を両立したとしている。その実力を、競合品を交えてテストした(関連記事:NVIDIA、最上位製品「GeForce GTX 580」を発表)。

 GeForce GTX 580は、GTX 480の設計をベースにした製品。GTX 480では歩留まりのためか無効にされていた演算ブロックを有効にして、シェーダー数を増やした。テクスチャーフィルタリングの速度を上げたほか、「Z-cull」と呼ぶ、描画に伴う処理の効率を改善した。演算ブロックの各部の設計を見直して、動作周波数も引き上げた。改良と動作周波数上昇により性能が向上した一方で、設計見直しの効果で消費電力が下がったという。また、レファレンスボードでは冷却機構を改良し、騒音を大幅に抑えたとしている。ボードメーカー各社は、NVIDIAの発表を受けてGTX 580製品を発売した。ほとんどがレファレンスに準拠した作りで、実勢価格は5万円台半ばだ。

●GeForce GTX 580/480の主な仕様
※1…Graphics Processing Clusters、※2…Streaming Multiprocessors
チップ名称GTX 580GTX 480
GPC(※1)4個4個
SM(※2)16個15個
シェーダー(CUDAコア)数512個480個
テクスチャーユニット数64個60個
ROPユニット数48個48個
コア動作周波数772MHz700MHz
シェーダー動作周波数1.544GHz1.401GHz
メモリー 動作周波数4.008GHz3.696GHz
メモリー 容量GDDR5 1536MBGDDR5 1536MB
メモリー バス幅384ビット384ビット
メモリー 転送速度192.4GB/秒177.4GB/秒
製造プロセス40nm40nm
消費電力(最大、ボード)244W250W
電源ユニットの推奨出力600W600W
最大動作温度97℃105℃

「GeForce GTX 580」を搭載したNVIDIAのレファレンスボード。
「GeForce GTX 580」を搭載したNVIDIAのレファレンスボード。
[画像のクリックで拡大表示]

補助電源端子はGTX 480と同じく、8ピン+6ピン。消費電力は下がっている。
補助電源端子はGTX 480と同じく、8ピン+6ピン。消費電力は下がっている。
[画像のクリックで拡大表示]

 GeForce GTX 580の実力を調べるため、GTX 480を中心に比較した。競合するAMDは、シングルチップの最上位製品「Radeon HD 6900」シリーズの出荷を公表しているが、まだ詳細を明かしておらず、市場には無い。そこで、1年以上も現役を続けている「ATI Radeon HD 5870」と2チップ構成のフラッグシップ「ATI Radeon HD 5970」のほか、発表されたばかりの「Radeon HD 6870」とそのCrossFireX構成、「Radeon HD 6850」のCrossFireX構成をテストした。HD 6870は最新モデルということでテストに加えたが、GTX 580とは価格帯が異なる製品で本来は直接の比較対象ではない。ボードはいずれもグラフィックスチップメーカーのレファレンスだ。テストに使用したPCパーツは以下の通りだ。

●テストに使用したパーツ
CPUCore i7-960
マザーボードP6X58D-E(ASUSTeK Computer、Intel X58搭載)
メモリーDDR3-1066 2GB×3
SSDS599 100GB(ADATA Technology)
電源ユニットCOUGAR GX 600(Compucase Enterprise)
OSWindows 7 Ultimate 64ビット日本語版
ドライバーGeForce GTX 580は評価用の262.99。そのほかのNVIDIA製チップ搭載製品は260.99。GTX 480の一部のテストでは260.89 BETA。AMD製チップはCatalyst 10.10。CrossFireX構成では最新のプロファイルとHotfixを適用済み