タブレット型の多機能携帯端末が続々と登場している。スマートフォンと並び、冬商戦の主役になりそうな勢いだ。タブレット(tablet)とは、平板という意味。ノートパソコンのキーボード部分を取り外して、液晶ディスプレイ部分だけにCPUやメモリーなど必要なデバイスを詰め込んだものと考えれば分かりやすい。ノートパソコンより機動性が高く、タッチパネル式液晶で直感的に操作できるのが特徴だ。ノートパソコンとスマートフォンの中間に位置付けられることが多い。
なぜ今、タブレット端末の発表、発売が集中しているのだろうか。
タブレット型の機器の代表的な製品と言えば、今年5月に発売されたアップルの「iPad」だ。同社のスマートフォン「iPhone」の技術や使い勝手をタブレット型に応用し、今までのパソコンをベースにしたものより軽快な動作と長時間のバッテリー持続時間を実現した。価格もネットブック並みで、ソフトバンクモバイルの3Gデータサービスを使えるモデルもラインアップする。2010年度第4四半期には全世界で419万台を出荷し、日本でも大ヒットした。今秋にはOSのバージョンアップが予定されており、マルチタスクなどが追加される見込みだ。
iPadのライバルが検索最大手の米グーグルが開発した携帯機器向けの「Android」を搭載したモデルだ。韓国サムスン電子と米デルが国内の携帯電話キャリアを通じて販売する。iPadの大ヒットを受け、大きな市場が見込めると見た他社は、Androidを採用してタブレット端末の投入を急いだのだ。国内メーカーではNECが企業向けに「Life Touch」の出荷を11月末に開始する予定だ。マウスコンピューターは「LuvPad AD100」の受注を11月4日に開始。予想を上回る予約があり、初回限定分は完売した。
電子書籍端末として期待されるタブレット端末
今年は“電子書籍元年”と呼ばれている。出版社、携帯キャリア、電子機器メーカー、印刷など様々な業界が入り交じり、電子書籍ビジネスが急速に立ち上がっている。提携も相次いでおり、作家は独自に作品を発表している。ストアも乱立している。タブレット型の機器は、電子書籍を読んだり、見たりするのに適している。スマートフォンより画面が大きくて文字が読みやすく、パソコンよりも機動性が高くてどこでも読めるからだ。タブレット型の端末の増加には電子書籍の盛り上がりが大きく影響している。