PR

 保護者のためのフィルタリング研究会は2011年1月21日、青少年によるインターネット利用時のフィルタリングに関する活動報告書を公開した。フィルタリングソフト・サービスの提供事業者向けの提言や、保護者向けの利用ガイドラインなどが含まれる。

 同研究会は、子どものインターネット利用に関する専門家が集まる研究会。2010年4月に設立された。NPO法人の代表や大学教授、PTA協議会会長などが委員を務める。事務局を務めるネットスターやヤフーをはじめ、フィルタリング事業者も運営に協力する。

 座長代理を務める、お茶の水女子大学の坂元章教授は「フィルタリングさえ入れれば安全・安心だという安易な期待があるが、実際にはネット問題やフィルタリングについて保護者がよく理解しておく必要がある。フィルタリングに対する期待と理解不足のギャップが大きい」と話す。このギャップを埋めるべく、保護者に対する情報の整理と提供、およびフィルタリング提供事業者に対する課題の指摘や行動原則の提案を行うことが同研究会の目的。フィルタリングは法制化などの行政主導の取り組みに任せるのでなく、保護者が主体となるべきだとの基本的な理念のもとに活動する。

 研究会では、保護者や教員、携帯電話事業者、ゲーム機メーカー、中央省庁や地方自治体などから、子どものネット利用の実態についてヒアリング。それをもとに、委員による議論・検討を行い、報告書をまとめた。

 報告書では、ブラックリストに登録されていないWebサイトは遮断できない、スマートフォンや携帯電話から無線LAN経由でネット接続するとフィルタリングが機能しない場合がある、といったフィルタリングの限界を指摘。また現状の課題として、フィルタリング精度が低い/設定が難しいといった事業者側の問題や、フィルタリングの役割や利用リスクへの認識が不足しているといった保護者側の問題があることを挙げている。フィルタリングの普及と活用には、一人ひとりの保護者の役割が重要であることを強調する。

 事業者向けの提言としては、(1)基本性能を高める努力、(2)青少年の安全を最優先にしたサービス設計・運用、(3)保護者の理解度・予備知識に応じたサービス設計、(4)提供製品・サービスの透明性確保への努力の4つの行動指針を示す。同時に、今後はフィルタリングの専門事業者だけでなく、携帯電話事業者やゲーム機、テレビ、スマートフォンなどのメーカーがサービスの設計・提供主体になることも改めて述べている。一方保護者には、「厳しい制限で始めて、青少年の発達や利用経験に応じて緩めていく」という大原則の方針を提言。自分の子どもからフィルタリングの解除を求められたとき、保護者名義の携帯電話を子どもに使わせるときなどの具体的な局面に応じた注意点もまとめている。

 報告書はWebサイトで公開するほか、中央省庁や地方自治体などに提供する。今後のフィルタリングの普及啓発の基礎資料となることを期待しているという。保護者向けの教材作成に取り組む民間団体などへの情報提供も実施する計画だ。