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 ソニー 執行役 EVP 最高財務責任者(CFO)の加藤優氏は、「VAIO」ブランドで提供しているパソコン事業について、「他社のパソコンとの差異化を図り、VAIO事業をやっていくことはできると考えている」と語り、当面は現状通りの開発・生産体制を続ける考えを明らかにした。2011年2月3日に開催した2010年度第3四半期(2010年10~12月)の決算会見で日経パソコンの質問に答えた。

 直近の第3四半期におけるパソコン事業の状況は、「売上台数が日本以外の全地域で増加した」(業務執行役員 SVPの神戸司郎氏)ものの、単価下落と為替の影響を受け減収。営業利益は、好調な販売実績により為替の影響を吸収して横ばいという。同四半期のパソコン販売台数は270万台(前年同期は230万台)。2010年度(2011年3月期)におけるパソコン販売台数予想は880万台で、前年度の680万台より大幅に積み増す計画だ。

 NECと中国レノボグループによるパソコン事業の合弁会社設立の発表を受け、VAIO事業のあり方について質問された加藤氏は、現状について「VAIOはもともとAV機能で差異化する戦略を採ってはいるものの、確かに現状では厳しいマーケットの中でやっている」との認識を表明。その上で、AV機能などの特徴を持つ上位機は自社生産しつつ、低価格で大量に販売する機種は台湾などのODMパートナーに委託するという体制を既に採っており、「競合他社のパソコン事業の態勢に大きく引けを取らないと思う」(加藤氏)とした。

 VAIO事業の今後については、「さまざまな種類の機器がネットワークを介してつながるようになれば、ゲーム機やタブレット機などと共にVAIOがその一角を担っていくことになる。そうしたネットワーク戦略により、競合他社のパソコンとVAIOとを差異化する工夫はできると考えている。今後もVAIOの特徴を出しながらパソコン事業を展開していきたい」(加藤氏)と語り、自社のAV機器や通信機器との連携機能を差異化のポイントとして重視する考えを示した。