PR

 カシオ計算機は2011年2月4日、コンパクトデジタルカメラ「EXILIM(エクシリム)」シリーズの新製品3機種を発表した。発表したのは、広角・高倍率ズームモデルの「EX-ZR100」、従来のカメラとは一線を画す“可変フレームデザイン”の「EX-TR100」、1回のフル充電で約1000枚の撮影が可能な「EX-H30」(製品ニュースはこちら)。

 発表会では冒頭、同社執行役員QV事業部長の中山仁氏が「我々は、デジタル技術を駆使して写真の新しい楽しみ方を創造する“写真革命”を進めてきたが、今回の新製品は、それをさらに推し進めることになる」と意気込みを語った。その写真革命で、中核となるのが「HDR(Hight Dynamic Range)技術」を駆使した「HDRアート」機能だ。会場では、このHDRアート機能を搭載するEX-ZR100とEX-TR100の製品説明とともに、手持ちの写真をHDRアートに変換してくれる同社のサービス「イメージングスクエア」が紹介された。

 HDR技術とは、露出の異なる連写画像を高速合成することで、白飛びや黒つぶれを抑え、暗部から明部まで人間の目で見たのに近い印象にする技術。本来は、自然な印象の写真にするための技術だが、これを逆手に取ったのがHDRアート機能だ。HDRアート機能では、HDRによる画像合成の際、自然な仕上がりにするのではなく、あえて局所的に彩度やコントラストに強弱を付け、これまでにはない絵画調の写真に仕上げている。ユーザーは、カメラのモードダイヤルで自然な仕上がりの「HDR」か「HDRアート」を選ぶことができる。

 EX-ZR100(実勢価格4万円前後)は、2010年にこのHDRアート機能を搭載してヒットした「EX-ZR10」(実勢価格3万3000円前後)の上位機種となる。光学ズーム倍率を既存機種の7倍から12.5倍にアップしたほか、HDRアート機能の「アート効果」を弱・中・強の3段階で調整できるようにした。

 一方のEX-TR100(実勢価格3万5000円前後)は、これまでにない可変フレームデザインを採用した全くの新規モデル。レンズ部分を中心にフレームが360度回転し、液晶モニターも270度回転する。静止画撮影時にはフレームを閉じて通常のコンパクトデジカメのように、動画撮影時にはフレームを開いてグリップにすることでムービーカメラのように撮影できる。また、フレームをスタンドにしてテーブルに置いたり、フレームを壁に引っ掛けての撮影も可能。

 このEX-TR100は、EX-ZR100とほぼ同等の機能を持つが、レンズの焦点距離は35mm判換算で21mm単焦点と超広角になる。これについて同社QV事業部商品企画部次長の渋谷敦氏は「新しい撮影スタイルを提案するのが目的で、必ずしも光学ズームは必要ないと判断した。気軽に21mmでの撮影を楽しんでもらえれば」と説明した。

 製品の発表に続き、会場では同社が展開する画像変換ネットワークサービス「イメージングスクエア」が紹介された。同サービスでは、自分が持っている写真をHDRアートにできる「HDRアートクラフト」、写真を油絵のような絵画に変換する「バーチャルペインター」、写真から被写体を切り抜き、他の写真と合成する「ダイナミックフォト」などのサービスが受けられる。デジカメ写真だけでなく、携帯電話で撮影した写真や古い紙焼き写真にも対応する。

 ステージには、同サービスのプロデューサーを務めるアーティストの石井竜也氏が登場。自身の作品を手にしながら「写真が撮るものから描くものになったと本当に実感できる。いつの間にか普通の写真では満足できず、いつもHDRアート機能を使って写真を撮るようになってしまった」とHDRアート機能についての感想を語っていた。

 執行役員QV事業部長の中山仁氏は「コンパクトデジカメで楽しめる要素はまだまだたくさんある。デジタルならではの楽しみ方を提案することで、他社製品との差異化が図れると同時に、高単価の製品で勝負することがきる」と話し、飽和状態気味の国内コンパクトデジカメ市場に拡大の余地があることを示唆した。