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 ソニーは2011年5月26日、2010年度(2011年3月期)の連結業績(米国基準)を発表した。同社が5月23日に発表した修正予想通り、売上高は対前年度比0.5%減の7兆1812億円、営業利益は同528.9%増の1998億円。当期純損益は2595億円の赤字となり、前年度(408億円の赤字)より赤字幅を拡大している。併せて発表した2011年度の業績予想では、売上高が対前年度比4.4%増の7兆5000億円、営業利益が同0.1%増の2000億円、当期純利益が800億円とし、情報漏洩の問題などによる損失を被りつつも、増収と前年度並みの営業利益確保を目指す。

 2010年度業績を事業分野別に見ると、テレビ、デジタルカメラ、オーディオ・ビデオ、半導体、コンポーネント、業務用機器などを含む「コンスーマープロダクツ&デバイス」(CPD)と、ゲーム、パソコンなどを含む「ネットワークプロダクツ&サービス」(NPS)がいずれも黒字転換。「映画」と「金融」は減収減益、「音楽」は減収増益となった。

 CPD部門では、液晶テレビが家電エコポイント制度により大幅増収となったほか、中小型液晶パネルや撮像素子の売り上げも増加した。営業損益ベースでは、撮像素子やデジタルシネマ向けプロジェクターが利益率向上に寄与したほか、前年度に計上していた液晶テレビ関連資産の減損271億円がなくなったこと、リストラ費用が前年度の759億円から416億円に減少したことも貢献した。

 CPD部門のうち液晶テレビは、販売台数が前年度の1560万台に対し2240万台と大幅増。売上高も対前年度比19.4%増の1兆2004億円となった。一方、販売単価下落と為替差損の影響で750億円の営業赤字を出した。「テレビ事業は、震災前までは計算上けっこういい線まで行っていた」(ソニー EVP CFOの加藤優氏)と語り、東日本大震災の影響がテレビ事業の営業赤字の背景にあるとした。液晶テレビ事業の黒字転換を掲げつつ実現できていない点については、「2010年度はパネルの調達がうまくいかなかった。単価下落や部材コストの変動など、(業績予想の前提となる)外部環境の想定は市場の厳しさを踏まえて計画しており、想定が甘かったということはあまりない。自分たちの実力、実行面で及ばなかった。2011年度の計画では、かなりの損失圧縮を見込んでいる」(加藤CFO)とした。2011年度の販売台数は2700万台を見込む。

 NPS部門では、パソコンがシェア拡大により増収となったものの、為替差損により売上高は横ばい。「プレイステーション3」(PS3)の量産コストが減少したほか、PS3向けソフトの販売が好調で、営業損益ベースでは1000億円以上改善し黒字を計上した。

 一方で2011年度は、「プレイステーション・ネットワーク」(PSN)や「Qriocity」などで発生した情報漏洩による損失が影を落としそうだ。5月23日の発表通り、2011年度の業績予想でも既に140億円の費用を計上しているが、今後の動向次第ではさらに影響額が増える可能性もあるとしている。このほか、「プレイステーション・ポータブル」(PSP)や「プレイステーション2」(PS2)の販売台数減少などにより減益を見込む。

 映画部門は、「ベスト・キッド」「Grown Ups」「ソルト」などが好調だったものの、「2012」「天使と悪魔」「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」などがヒットした前年度には及ばず、為替差損の影響もあり減収減益となった。音楽部門でも、前年度にマイケル・ジャクソンのアルバムがヒットした反動で減収。ただし広告宣伝費やリストラ費用、間接費が減少したことで増益を計上している。金融部門では、ソニー生命の資産運用収益が前年度を下回った影響で減収減益となった。

 持分法適用会社の英ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは、売上高が対前年度比6.5%減の60億3400万ユーロ。税引前損益は前年度の6億5400万ユーロの赤字から1億3300万ユーロの黒字に、純損益は前年度の5億2200万ユーロの赤字から7400万ユーロの黒字にそれぞれ転換した。製品ラインアップを絞り、高価格帯のスマートフォンに注力した結果、売上高は減少したものの採算性が向上した。