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 三井住友海上火災保険は2011年11月4日、Windows 7を搭載したタブレット端末(スレートPC)を利用した保険契約手続きの運用を開始した。自動車保険と火災保険の契約を対象に、保険料の見積もり、契約内容の確認、契約時の署名(サイン)など一連の手続きを、全てタブレット端末上で完結させる。タブレット端末を使用した保険契約手続きの開始は、損害保険業界で初めてだ。

従来はノートPC+ペンタブレット

 同社は2007年から、ノートパソコンを利用して契約内容の説明や契約手続きを行う「電子計上システム」を運用している。同社営業推進部営業ITチームの近田伸矢課長は、「商品の内容をパンフレットで説明するよりも、お客様にぴったりのプランをそのまま提示しながら、パソコンの画面で分かりやすく説明した方が、説明責任を果たせるというところからスタートした」と、開発の経緯を話す。実際、証券の誤認や、要望通りのプランではないといった苦情は、導入前の3分の1に減った。

 また、「紙の申込書にはどうしても不備が多く、訂正しても訂正しきれない部分などが出てしまう。一方、パソコンでやればそうしたミスがなくなり、エラーをゼロにできる」(近田氏)という点もメリット。代理店から届いた紙の申込書を確認し、不備があると代理店に戻して修正してもらうといった作業が不要になるので、これに当たる職員の人件費も削減できた。同社では現状、契約全体の約6割を、同システムで行っているという。

 同システムではこれまで、契約時の署名に専用のペンタブレットを利用していた。USB接続でノートパソコンに接続し、「電子サイン」を手書きする。この電子サインを、タブレット端末の画面上で行えるようにしたのが、新たに運用を開始した新システムだ。画面を指先でタッチしたり、ペンで手書きしたりして署名が行えるようにした。

 訪問先で契約手続きを行う場合、従来はノートパソコンとペンタブレットの2つを持ち運ぶ必要があったが、タブレット端末なら1台で済む。端末が薄型軽量で持ち運びやすいのも利点だ。「これまでもコンバーチブル型のタブレットPCはあったが高価だった。最近のタブレット端末は低価格だし、バッテリー駆動時間が長くなったのも大きなポイントだ」(近田氏)。

なぜWindows端末を選んだのか

 タブレット端末としては、米アップルの「iPad」や米グーグルのOS「Android」を搭載する端末が多数登場している。それらではなく、Windows 7を搭載したタブレット端末を採用した理由について、近田氏は次のように語る。

「これまでノートパソコンで稼働していたプログラムが、ほぼそのまま動くのがWindows端末のメリット。新システムは、ペンタブレットで行っていた電子サインの部分をタブレット端末に対応させるだけで済んだ。また、個人情報を扱うプログラムなので、認証などのセキュリティも必要。これらのシステムを全てiPadなどに移行するには、かなりコストと手間が掛かる。契約手続き以外にも、Excelで利用する計算プログラムなど、代理店業務にはさまざまなシステムが必要で、それらを全てiPadなどに移行するのは不可能だろう」

 利用するタブレット端末自体は、同社が一括購入して配布するわけではなく、各代理店が購入する。同社は、動作確認済みのタブレット端末を代理店に提示すると同時に、必要なプログラムを同社の代理店向けWebサイトを通じて提供する。従って、実際にタブレット端末を利用する代理店がどのくらいに上るかは未知数だが、「代理店からの問い合わせは多い」(近田氏)という。

 同社の代理店のうち、ノートパソコンを使った電子計上システムを導入している代理店は約1万あり、約3万人の募集人が利用している。同社では、これらの代理店に加えて、今まで同システムを利用していなかった代理店にも、タブレット端末の導入を推奨していく。

 保険業界ではほかにも、第一生命保険が約4万人の営業職員向けにWindows 7を搭載したタブレット端末の導入を決定している。富士通が手掛ける第一生命オリジナルのタブレット端末で、2012年8月から順次導入する予定だ。